トピックス [嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学附属博物館]
嵯峨美ZOO―生き物大集合
動物は人類誕生のときから人間のすぐそばで生きてきました。ときに神聖視され、ときに人の役に立ち、ときに食用となり、またときには人を襲う恐ろしいものでもありました。それだけに動物は人間の造形物に頻繁に登場します。東洋では「花鳥画」というジャンルが古くから確立しており、とくに重要な主題だったといえるでしょう。人間はそうした動物たちの姿から、空想の生き物、つまり怪物も多く生み出しました。古代ギリシアのグリフォンやキマイラ、そして日本の鵺のように、そうした怪物の多くは実在の動物を組み合わせて作られたものです。
本展では嵯峨美術短期大学として出発した本学の初代学長である佐和隆研とその調査団がインドから持ち帰ったオリッサ州の工芸品から、京都で生産された輸出用の貿易扇原画、そして日本各地の郷土玩具などに表わされた実在の生き物、架空の生き物をご覧いただきます。
現在、われわれ人間の活動に帰せられるさまざまな事柄を要因とする気候変動が地球の姿を変えつつあります。生き物もその影響を受け、絶滅のおそれにある種、異常発生する種がますます増えています。結果的にそれが人間に返ってきていることは、スーパーマーケットに並ぶ品々を見るだけで明白です。
この展覧会は、ほんの小さなものにすぎません。けれども私たちとともにあった生き物に思いをはせ、人類と生き物の関係を見直すわずかなきっかけとなれば幸いに思います。
2025年2月23日