学業から職業へ ―京都高等工芸学校と京都市立美術工芸学校の図案教育Ⅲ

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学業から職業へ ―京都高等工芸学校と京都市立美術工芸学校の図案教育Ⅲ

会期2016年6月20日(月)~8月8日(月)
(日曜日・祝日休館)
開館時間10:00〜17:00(入館は16:30まで)
会場京都工芸繊維大学美術工芸資料館1F
(〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町)
お問合せTEL 075-724-7924
アクセス京都市営地下鉄烏丸線「松ヶ崎」駅下車、1番出口から徒歩8分
入館料一般200円、大学生150円、高校生以下無料
*ただし、京都・大学ミュージアム連携所属大学の学生は無料
主催京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都市立芸術大学芸術資料館
共催京都・大学ミュージアム連携参加校
助成「京都・大学ミュージアム連携が核となる文化発信事業の継続と展開」
(平成28年度文化庁 地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業)
PDFダウンロードpdf-event-160620-01

開催趣旨

2014年度「浅井忠・武田五一と神坂雪佳−京都高等工芸学校と京都市立美術工芸学校の図案教育Ⅰ−」、2015年度「“倣う”から“創る”へ−京都高等工芸学校と京都市立美術工芸学校の図案教育Ⅱ−」に続く連続展覧会企画の三回目で最終回。今回は、昭和前期(戦前期)を対象として、京都の図案教育とその成果の一側面を見ていきます。

大正末期から昭和初期にかけて、京都では大正14年(1925)からラジオ放送が開始され、昭和3年(1928)には京都市営バスが出町と大正12年に完成した植物園間で運転を開始するなど、急速に都市化が進み、高島屋、大丸といったデパートが賑わいをみせていました。

高島屋では、これ以前から大阪心斎橋店に装飾係を設置(明治33年(1900))し、敷物、家具の設計をはじめとした室内装飾の受注に力をいれていました。大正期にはさらに図案部(のちに設計部に改称)を設置し、染織分野では、同時期の大正 2年に髙島屋京都店内に百選会を設立し、図案の公募による商品開発をはじめました。また昭和2年には、丸紅商店京都支店内にも染織美術研究会が設立され、同様の公募による呉服の開発がおこなわれていました。こうした図案部や研究会の設置、一般公募の開催は、図案が商品開発の有効な手段として社会的に浸透しいったことを示しています。

一方、教育現場を見ると、京都高等工芸学校では昭和5年に当時の図案科教授であった本野精吾の設計による新校舎が完成し、現在の京都工芸繊維大学がある松ヶ崎の地に移転しました。この当時の図案科は、本野をはじめとして、向井寛三郎、霜鳥正三郎といった面々が指導をおこなっていました。京都市立美術工芸学校では、大正14年に神坂雪佳、猪飼嘯谷に代わって山鹿清華、田村春曉が図案科の教員となっていました。明治44年から教諭を務めていた千熊章禄は引き続き在籍していたものの、こちらでも同様に教員の世代交代があったこととなります。さらに大正15年には校舎を今熊野に移し、新校舎での教育を開始しており、およそ大正期から昭和初期にかけて両校で校舎の移転とあらたな体制での教育がスタートすることとなります。

明治24年に京都市美術学校に工芸図案科が新設されてから30年以上が経ち、京都高等工芸学校図案科も設立からおよそ20年が経過し、卒業生の多くが教育の成果を実際の現場で職業として発揮すべく図案制作に携わっていました。学校における図案教育の成果が商品製作の現場でどのように活かされているかを、卒業生の作品やさまざまな業種でつくられた製品資料をもとに検証します。

関連企画:シンポジウム

日時2016年6月25日(土) 13:30~16:30
会場京都工芸繊維大学総合研究棟4階404
基調講演森 仁史(柳宗理記念デザイン研究所シニアディレクター)
講演佐藤敬二(京都精華大学ギャラリーフロール教授)
松尾芳樹(京都市立芸術大学芸術資料館)
岡 達也(京都工芸繊維大学美術工芸資料館)
司会並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館館長)
申込不要、入場無料