本展は京都精華大学芸術学部造形学科洋画専攻4回生7名によるグループ展である。様々な表現方法がある中から、私たちは物質(マテリアル)に魅入られて制作に取り組んでいる。
各作家が選んだ一つ一つの物質—マテリアルはただの「もの」にすぎないが、作家が愛し紡ぐことで、「もの」は触れる者の心を揺さぶる存在へと変化する。

作家とマテリアルとの関係が具現化され、自己の精神や見えざる世界が新たなイメージとして浮かび上がる。キャンバス、パネル、紙、ビニール、写真、糸、土…。これら様々なマテリアルを通じて表現される作品は、各作家にとって、救いや執着という複雑な感情が凝縮された「愛」である。

素材、物質を愛した7人の作家が作り出す作品群—Material Love。物質が秘める力と作家が紡ぐ作品、これらは一体何を語りかけてくるだろうか。私たちは知りたい。

 

出品作家:荒井鈴奈、小山正、坂口静香、新谷嘉子、中村琴梨、鍋倉悠希、村田成

主催:Material Love Project

グラフィックデザイン:小手川志歩

日本各地の風光明媚な景観は、古来から「名所(などころ)」と称され、人々の心に感動を与えてきました。このような名所は、和歌の歌枕(うたまくら)、文学、絵画の題材としてだけでなく、古跡名勝のように実際に旅先で立ち寄って体験する場所、今日でいうところの「名所(めいしょ)」としても親しまれるようになり、日本の様々な文化の中に根付いています。

2025年、京都産業大学は創立60周年を迎えます。本展では、創立以来収集されてきた本学図書館の所蔵資料を中心に、和歌や絵画、名所案内記などから京の「名所」を紹介します。中でも、展示初公開となる本学図書館蔵「洛外図屏風」(江戸時代後期)は必見です。

みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

このたび芸術館では、春季コレクション展を開催いたします。本展は、大阪・関西万博開催を記念し、関西にちなんだ2つの特集で構成されています。

「特集Ⅰ」では、幕末から明治にかけて活躍した豊原国周(1835-1900)が描いた浮世絵コレクションより、「関西」を舞台に役者の演技を大胆な構図と緻密な描写でとらえた役者絵(歌舞伎絵)11点を紹介します。

「特集Ⅱ」では、本学教員や卒業生の作品を中心とした学園美術品コレクションより、関西出身で本学ゆかりの作家―本学で教鞭をとった川村悦子(1953–)と八幡はるみ(1956–)、本学大学院修了生である津上みゆき(1973–)―による移ろいゆく季節をヴィヴィッドに捉えた作品4点をシルクロード工芸品とともに紹介します。

芸術館では、学生と教員が協働し、芸術館収蔵品や教員・学生の作品の活用を進めています。学生とともに作り上げた2つの特集展示をぜひお楽しみください。

2025年3月20日(木曜日・祝日)から2025年5月25日(日曜日)まで、令和7年度京都市立芸術大学芸術資料館展覧会 第1期「herstories-女性の視点でたどる美術史」を開催します。

「herstories-女性の視点でたどる美術史」は、京都市立芸術大学初の女性学長である赤松玉女の退任を記念し、女性の視点から美術史を再解釈する試みです。これまで男性中心で語られてきた美術史の中で、女性芸術家や教育者たちが果たしてきた役割に焦点を当て、多様な社会的・文化的背景を浮かび上がらせます。本展では、赤松玉女を中心に、大学の歴代女性教員たちの作品や教育活動を紹介し、彼女たちが紡いできた「herstories」(女性の物語)を描き出します。さらに、現代におけるジェンダーや多様性に関する対話を促進し、新しい美術史の構築を目指す場を提供します。

【本展担当教員によるギャラリートーク】

3月25日(火)12:15~12:45

4月22日(火)12:15~12:45

(画像:上野リチ《壁紙》 1928年)

わたしたちは「ながれ」の中に生きている。
朝から夜へ、内から外へ、生から死へ。
紙や印刷の加工で表現を追求する
プロジェクト授業「ビジュアルプロダクト」
あらゆる生活に付随する「ながれ」を
作品のテーマとして視覚化を試みました。
わたしたちの背景には様々な物語があります。
作品は、個々の体験から得た物語の1シーンを切り取り表現。
それぞれのシーンを集めて一連のエピソードを形成した
『sequence(シークエンス)』として
楽しんで鑑賞いただければ幸いです。

出展学生:
キャサリン・セリシア ニオ、小手川 志歩、月野茜、道佛幸祐、西立野ひより、平川和照、フ・ヨウテイ、細見陽向、ラム・チュンヤン

担当教員:王怡琴、峠田充謙、増永明子

2024年度博物館学芸員課程修了展(その4)として「星空教室」を開催しています。

星は古くから人々の生活や信仰と密接な関係があり、星や星座に関する神話や物語が数多く語られてきました。しかし、近年、京都のまちなかも、ビルやマンションの建設が進み、星空を見る機会が少なくなっています。「星空教室」は、星や星座について学び、星空に興味を持ってもらいたいと考え企画しました。

本展覧会を通して星や星空の知識を深め、星や星座が生み出す宇宙の美しさへの関心を高め、星空に親しみを持っていただけたらと思います。

 

会 期:2025年3月21日(金)~2025年3月28日(金)

時 間:10:00~16:00

休館日:土曜日・日曜日

場 所:国際文化資料館(第二分館3階)

主 催:国際文化資料館、博物館学芸員課程

協 力:京都外国語大学教育支援課、国際言語平和研究所

監 修:南 博史(博物館実習担当教員)

 

◇ワークショップ◇

「ビーズで星座作り」

大谷大学は明治34年(1901)に東京巣鴨(すがも)で開学した真宗大学(しんしゅうだいがく)にはじまり、大正2年(1913)には京都市小山(こやま)の地に移転し、現在に至ります。本展覧会では、明治・大正・昭和の歴代学長の肖像と、それぞれの学問・研究に関する作品を紹介します。

学長は、初代学長清沢満之(きよざわまんし)から現在まで29代を数えます。その肖像は、学恩を受けた人びとの感謝の意と師を懐かしみ顕彰する思いから制作されたものです。いずれも当時交流のあった画家によって描かれており、往時は旧講堂に掛けられていました。

これらの肖像を通じて、大谷大学の歴史と大学の発展のために力を尽くした方々の思いに触れていただければ幸いです。また本年は、大谷大学の建学の精神として位置づけられる「大谷大学樹立の精神」が、第3代・佐々木月樵(ささきげっしょう)学長によって大正14年(1925)に発表されてから100周年を迎えます。そこにこめられた願いにも触れていただきたいと思います。

 

2025年4月1日(火)~5月10日(土)

[開館時間]10時から17時(入館は16時30分まで)

[休館日]日・月・祝(ただし4月28日(月)は開館)

[主催]大谷大学 [後援]エフエム京都

観覧料無料

当館所蔵の、二条家(五摂家のひとつ)伝来の雛人形の展示を、分館(ハリス理化学同志社ギャラリー2階「京都の中の同志社」展示室)でおこなっています。期間は3月~4月中旬を予定しています。どうぞご見学ください。

〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入
同志社大学今出川キャンパス ハリス理化学館
https://harris.doshisha.ac.jp/doc/guide/access.html

 刀剣を装飾する刀装具は、鐔と三所物と呼ばれる目貫・笄・小柄が代表的です。柄と鞘のあいだに位置する鐔は、接近戦の際に相手の刀を受け止めるために必要であり、中央の穴には刀身を、左右の穴には笄と小柄(小刀)を通します。これら刀装具には早くからさまざまな意匠がほどこされ、強さや吉祥をあらわすものもあれば、文学的な主題を扱ったものもあります。また、髷を整えるなど身だしなみのために用いられたとされる笄は、しだいに結髪後に挿し込んで髪を飾るものへと変化しました。笄に加えて櫛や簪は多様な髪型が生まれるのに伴って髪飾りとして発達し、多彩な意匠がほどこされました。
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館で刀装具や髪飾りの所蔵がされてきたのは、意匠性と機能性を兼ね備えるものとして、恰好なデザイン教材と考えられたからでしょう。このたび新たに鐔をはじめとする刀装具約670点と髪飾り約180点を収蔵し、大きくその幅を拡げることとなりました。
 本展は、新たにコレクションに加わった刀装具や髪飾りの一部を公開するとともに、鐔を中心にそのデザイン教材としての可能性を探ります。鐔は円や角、木瓜などさまざまなかたちを持ち、戦いのための適切な大きさ・重さといった条件を満たしながらデザインされています。そんな鐔そして髪飾りのかたちとデザインを通して、日本において育まれてきた身に着けるものへ美を追い求める心に学んでいただければと思います。

会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館1階(第1・第2展示室)
   ※ただし第2展示室は4月7日(月)までとなります。

 「建築アーカイブズをひらく」は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が収蔵する知られざる建築資料や収蔵に向けて整理 作業中の建築資料、あるいはその整理や研究の過程で得られた発見を紹介する小さな展覧会のシリーズです。収蔵庫の内外で人目につかずにいるさまざまな記録に光を当て、都市や建築に関わるさまざまな活動を読み解くことで、これからの都市や建築を考えるための新たな視点を提供するとともに、建築アーカイブズの可能性を発信します。

 「私は街の診断師だ」(北沢恒彦『自分の町で生きるには』(晶文社、1981年))
北沢恒彦は京都市中小企業指導所の職員として1970年代から1990年代にかけて京都の商店街、小売市場、個店の商業診断調査を行い、まちのあり方を思案した人物です。その調査には「京都ベ平連」や「思想の科学」など北沢が所属した市民活動の仲間をはじめ、京都工芸繊維大学や京都精華大学などの学者、学生、写真家、デザイナーなどが参画しました。彼らは、大型店舗やスーパーに圧倒され失われつつあった京都の商いの場をそれぞれの視点で分析し、記録を行いました。
本展覧会では美術工芸資料館に寄贈された資料を通じて、北沢恒彦らがどのように「まち」を思考し、調査を実施したのかを読み解くと共に、ポスト経済成長期の京都の姿を、彼らの調査の記録である診断報告書、巡回レポート、写真、北沢と商人との手紙から描き出します。

会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館1階ホール

◎関連企画
○ギャラリートーク
日時:3月29日(土) 11:00~/13:00~/15:00~(各回30分)
定員:各回10名程度(申込不要、先着順)
解説:和田蕗(岐阜工業高等専門学校建築学科助教・本展企画担当)

2024年度博物館学芸員課程修了展(その3)として「明治から現代に紡がれた養蚕〜渋沢栄一から紐解く織物産業〜」を開催します。

養蚕業は明治に日本の近代化を推し進める基幹産業となり、現在の繊維産業は発展してきました。しかしながら、その中心となっていた日本の伝統的な着物は、生活環境の変化などにより需要が大幅に減少しています。さらに近年は後継者不足といった課題も抱えています。一方、富岡製糸場が世界文化遺産に認定されたことにより、養蚕業が果たした役割や日本の染織文化に再び注目が集まっています。新しく発行された1万円札の渋沢栄一は、富岡製糸場の創設など日本の繊維産業の基礎を作りました。

本展は日本遺産や渋沢栄一を切り口に、日本の繊維産業の歴史や現状、技術の素晴らしさについて紹介します。そしてこの展覧会が繊維産業だけでなく日本の伝統文化や技術の継承についても考えるきっかけになればと思います。

 

会  期:2025年2月27日(木)~3月21日(金)

時  間:10:00~16:00

休  館  日:土曜日・日曜日・祝日・本学が定める入構不可日

場  所:国際文化資料館(第二分館4階)

主  催:博物館学芸員資格課程、国際文化資料館

協  力:藍のふるさと阿波魅力発信協議会、かかあ天下ぐんまの絹物語協議会、日本遺産「桑都物語」推進協議会、丹後織物工業組合、桐生織物協同組合、京都工芸繊維大学生物資源フィー  ルド科学教育研究センター、京都外国語大学教育支援課、国際言語平和研究所

監  修:南 博史(博物館実習担当教員)

 

◇ワークショップ◇

「糸繰り体験~繭から糸を作ろう~」

動物は人類誕生のときから人間のすぐそばで生きてきました。ときに神聖視され、ときに人の役に立ち、ときに食用となり、またときには人を襲う恐ろしいものでもありました。それだけに動物は人間の造形物に頻繁に登場します。東洋では「花鳥画」というジャンルが古くから確立しており、とくに重要な主題だったといえるでしょう。人間はそうした動物たちの姿から、空想の生き物、つまり怪物も多く生み出しました。古代ギリシアのグリフォンやキマイラ、そして日本の鵺のように、そうした怪物の多くは実在の動物を組み合わせて作られたものです。
本展では嵯峨美術短期大学として出発した本学の初代学長である佐和隆研とその調査団がインドから持ち帰ったオリッサ州の工芸品から、京都で生産された輸出用の貿易扇原画、そして日本各地の郷土玩具などに表わされた実在の生き物、架空の生き物をご覧いただきます。
現在、われわれ人間の活動に帰せられるさまざまな事柄を要因とする気候変動が地球の姿を変えつつあります。生き物もその影響を受け、絶滅のおそれにある種、異常発生する種がますます増えています。結果的にそれが人間に返ってきていることは、スーパーマーケットに並ぶ品々を見るだけで明白です。
この展覧会は、ほんの小さなものにすぎません。けれども私たちとともにあった生き物に思いをはせ、人類と生き物の関係を見直すわずかなきっかけとなれば幸いに思います。

明治22年(1889)、本部構内にあたる場所に旧制第三高等中学校が設置され、それまで愛宕郡吉田村と呼ばれていた近郊の農村から、現在わたしたちが目にするような都市の一隅へと、界隈の景観は大きく変貌していくことになります。
構内に残される遺跡の調査成果と、関連する研究を軸に紹介するシリーズ「文化財発掘」の今回は、このような、大学が所在する地域の歴史とのかかわりに焦点を当てます。歴史都市郊外としての盛衰を物語る構内からの出土資料に加えて、遺跡としても確認される古道や地割などをつぶさに記した古絵図、そして、そこに記載が見出され今もこの地に伝承される剣鉾祭礼の姿などを、すべて地域における遺産としてとらえ展観します。
これらを通じて、遺跡の上にある大学の存在に理解を深めていただくとともに、キャンパスの空間と地続きでひろがる「大学のある街」の歴史について、今を生きる私たちとも接点をもつ豊かで身近なものと実感する機会となることを、願っております。

立命館宇治高校3年生が学校設定科目Well-beingの授業のなかで、Well-beingな世界とはどのようなものかを
考えています。Well-beingな世界にするために、考えてほしい問いをポスターにまとめています。

The exhibition “Echoes of Peace: Contemporary Student Anti-War Movement in Kansai and the World” presents the unyielding spirit of youth in the fight for peace.
It highlights the actions of students from Kansai and beyond who have addressed conflicts such as those in Ukraine, Israel-Palestine, and Myanmar, demonstrating their solidarity and resilience in the face of global challenges. Through evocative photographs, artifacts from protests, peace marches, charity events, and encampments, witness the tangible impact of their courage and conviction.
The exhibition also features documentary footage and interviews with students actively engaged in these activities, capturing the essence of their anti-war activism. Together, these elements illustrate the interconnected struggles for peace and the enduring impact of youth-led movements across cultures and communities.

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展覧会「Echoes of Peace- 平和の声:関⻄と世界における現代学⽣反戦運動」は、平和を求める若者たちの不屈の精神を描き出しています。
本展では、ウクライナ、イスラエル・パレスチナ、ミャンマーといった紛争に⽴ち向かう関⻄や海外の学⽣たちの⾏動を取り上げ、グローバルな課題に対する彼らの連帯と強さを⽰します。
抗議活動、平和⾏進、チャリティーイベント、キャンプなどで使⽤された資料や⼼を揺さぶる写真を通じて、彼らの勇気と信念が⽣み出す具体的な影響をご覧いただけます。また、これらの活動に積極的に関わる学⽣たちへのインタビューやドキュメンタリー映像も展⽰され、彼らの反戦運動の本質が映し出されます。これらの要素を通じて、平和を求める闘いのつながりや、⽂化やコミュニティを超えた学⽣主導の運動がもたらす継続的な影響を⽰します。

会場
立命館大学国際平和ミュージアム 2F ピースギャラリー

1/21~2/22に、第33回ハリス理化学同志社ギャラリー企画展「京田辺と同志社~考古学の世界から~」を開催します。京田辺市との共催です。

 

企画展の趣旨

同志社大学京田辺キャンパスは1986(昭和61)年、京都府綴喜郡田辺町(現在の京田辺市)に開校された。田辺町の頃には田辺キャンパスと呼ばれていた。キャンパスは広大な敷地を有し、その開発に先立ち、敷地内の遺跡の有無の確認と発掘調査が行われた。遺跡調査に伴う拠点となる建物が同志社国際高校の東隣(現在のテニスコート)に建設された。京田辺キャンパス最初期の建物の一つである。調査の結果、弥生時代から中世にわたる各時代の遺構・遺物が見つかり、これらの多くが当時の関係者の努力によって遺構保存されることとなった。京田辺には大学構内だけでなく歴史的に重要な遺跡が数多く存在するものの、地域を超えての周知までには至っていない感がある。
今回の展示では、先人が残してくれた京田辺キャンパスの遺跡と、京田辺市のご協力のもと京田辺市所蔵の資料とともに京田辺地域の歴史を垣間見ていくこととする。

博物館学芸員課程修了展(その2)として「生活を彩る色と柄」展を開催します。

近年、日本のアニメといったサブカルチャーにおいて、日本の伝統模様が使用され注目されています。また伝統模様とも関わりが深い色にも無数の名前や意味が存在し、私たちが使っている物には必ず色が使われ、それらは国や地域によって様々な特色を持っています。

今回の展覧会では、そのような世界の国々の中でも、私たちが暮らす日本の「伝統模様」や「色」に焦点を当ててみたいと思います。

 

会  期:2025年1月21日(火)~2月18日(火)

時  間:10:00~16:00

休館日:土曜日・日曜日・祝日・本学が定める入構不可日

場  所:国際文化資料館(第二分館4階)

主  催:国際文化資料館、博物館学芸員課程

協  力:京都外国語大学教育支援課、国際言語平和研究所

監  修:南 博史(博物館実習担当教員)

 

◇ワークショップ◇

「コラージュ」

 

「管/穴」は小説『不思議の国のアリス』や映画『ムカデ人間』など、ジャンルを超えて多くの表現の中で登場してきました。本展示も広義の管/穴を扱いながら制作を行う作家の展覧会です。 岡﨑未樹による葬いのための穴をテーマにした映像作品、兒玉真太郎の炭鉱の坑道と石炭層をモチーフにしたインスタレーション、佐々木大空の筒状の音響作品、ヤマモトナツキの内臓肉(=管)をモチーフにしたインスタレーションなどを中心に、4名の活動を展示します。管/穴は、空洞という言葉が示すような「空」の部分に着目され、「ないけれどあるもの」として扱われることがあります。別世界への入口である穴や、地下世界でどこまでも続いていく管のイメージなども、認識できないものとしての管/穴であると言えるでしょう。一方で、私たちの取り組みは「あるけれど捉えがたいもの」へのアプローチであると考えます。本展には、自分で掘った穴だったり、産業で利用される穴だったり、構造としての管であったり、一見すると把握できそうな管/穴が登場します。しかしそれらは、家族の死や、遠方で生きる人物との距離感、自己と他者の関係性、身体の制御不能さといった、「掴みきれないもの」に対して制作を通して接近しようとした様子が表れています。本展示は私たちにとって通過地点のような存在でもあり、展覧会後も管派/穴派の各々は制作やリサーチを続けていきます。

 

関連イベント

「管/穴の中サミット KYOTO 2025」
(参加アーティストによるトークイベント)
日時:2025年2月25日(火)13:00 – (1時間程度)
会場:展示会場内イベントブース

ヤマモトナツキ「もぐらジオ」
(公開ラジオ収録)
日時:不定期開催(作家のSNSでお知らせします)
会場:展示会場内イベントブース

 京都工芸繊維大学美術工芸資料館は、京都を拠点に写真家として活動した畠山崇(1944-2022)の写真(ポジフィルム、スライド、デジタルデータ等)と関連資料の遺贈を受けました。それを記念して昨年2023年度より「畠山崇の写真」展をシリーズで開催しています。二回目となる今回は、「畠山崇の写真II 京都を切り撮る」と題して、地元京都を熟知した畠山が撮影し切り取った京都のさまざまな表情を紹介します。
 京都在住であった畠山は、京都の工芸の世界、芸事の世界、華道・茶道の世界とも繋がりが深く、いけばなや器の数々、茶事や祭事などの催し、京都の家々に伝わる古美術や神社仏閣、庭園などを写し撮ってきました。それらの写真は、『淡交』『なごみ』『陶説』といった専門雑誌のみならず、『別冊太陽』『和楽』などの京都特集に掲載されてきました。
 今回の展覧会では、北野天満宮や貴船神社、伏見の酒蔵など、京都の代表的な観光地でもある名所旧跡、祇園祭や京町家の情景といった京都ならではのイメージとともに、菓子や料理、日々の道具など京都の暮らしに欠かせないモノたちを切り取った写真をご覧いただきます。特に、身近なモノに注がれる畠山の眼差しには、「物撮り」を得意とした写真家らしい個性が宿っています。それは光と影そして形に対する冷徹な計算とモノの温かみの両方を同時に感じさせるもののように思われます。
 なお、今回の展示写真は35mmスライドフィルムのデジタルスキャンによるプリントと、4×5ポジフィルムをデジタルスキャンしたプリントで構成されています。雑誌掲載時の写真は誌面構成応じてさまざまにトリミングされていますが、今回はほぼ撮影時のままトリミングなしの状態でのプリントを展示しています

フランス人アーティスト、ポール・コックスが1990年代から現在まで手がけたポスターの展覧会を開催します。彼の代表的な作品であるナンシー・オペラ座とリール・北劇場それぞれのポスターを中心に、翻訳家、ふしみみさをとともに制作した日本の神話えほんシリーズも紹介します。日本の神話を描く上で、取材時に描きためたスケッチから、アーティストとしての視点や緻密さが垣間見れる展示となっています。

本展は学部・専攻の異なる12人の作家が本展のために偶然集まった展示会です。そのため、偶然の交わりを軸に本来交わることのない「深海」と「透明」をメインテーマとしました。

タイトルの「光の届く」には、本来光の届かない「深海」に「透明」な光を届けるという意味を込めています。また、本展は来場者の方々にも光を届けてもらいたく、会場全体を暗くし照明も最小限に抑えており、来場者の方々にスマホライトを灯してもらいながら鑑賞していただく展示会となっています。
12人の作家が深海にどのような光を届けるのか、そして来場者の方々に光を届けていただくことで生まれる作品との偶然の交わりを楽しんでいただけましたら幸いです。

2024年度 博物館学芸員課程修了展

パネル展「今日(京)を生きる絶滅危惧種」

博物館学芸員課程修了展としてパネル展「今日(京)を生きる絶滅危惧種」を開催しています。

地球の深海に生き物が生まれてから40億年。2024年現在、さまざまな動物が生まれてきていますが、生まれるよりも急速に絶滅が進んでいます。絶滅のスピードは年々加速していて、2億年ほど前の恐竜がいた時代には1000年の間に1種類の生物が絶滅したと考えられていますが、200~300年前にかけては4年で1種、100年前には1年で1種のペースになり、そして1975年には1年間で1000種、今では1年間に4万種以上の生物が絶滅しているとされています。その絶滅の原因には、人的要因も多く関係しています。

本展覧会が京都の長い歴史の中で、絶滅していった生物とその絶滅した理由、絶滅のおそれのある生物、絶滅から守る解決策を知るとともに、京都の環境の変化にも目を向けるきっかけになればと思い企画しました。

 

 

会  期:2025年1月14日(火)~30日(木)

時  間:10:00~16:00

休館日:土曜日・日曜日

場  所:国際文化資料館(第二分館3階)

主  催:国際文化資料館、博物館学芸員課程

協  力:京都府総合政策環境部自然環境保全課、京都水族館、京都精華大学

三菱自動車工業株式会社、近畿大学、京都外国語大学教育支援課、国際言語平和研究所

監  修:南 博史(博物館実習担当教員)

 

〇教育普及活動

・展示するヘビ4種の長さを触って体感できるハンズオン展示

・京都の方言で何とよばれているかクイズ

 

平安の都ができてから、京都はながく日本の中心として栄えてきました。今回の展覧会では、絵画作品や古地図に描かれた京都の様相を、大谷大学博物館所蔵の作品から紹介します。
同じ描かれるといっても、絵画や図面はもとよりその制作目的も異なり、まったく違う表現がなされています。
絵画では洛中洛外の名所を描いた洛中洛外図などが有名ですし、四季折々の京都の風俗を描いた絵巻なども多く存在します。
一方、江戸時代以降に多く制作された古地図は平面に京都の町々や通りや禁裏、公家・大名の屋敷、神社仏閣などを描くのが基本ですが、用途や制作意図によって古地図自体にも記される情報が異なるなど、バラエティ豊かな京都のすがた、かたちが表現されてきました。
平安のむかしの京都を考証的に描いた京都図、江戸時代につくられた大小さまざまな京都図、そして俯瞰的に都市の様子を描いた「洛中洛外図屏風」などから、時代の変遷とともに姿を変える京都のすがた、また描かれ方によって異なる京都のすがたに触れていただきたいと思います。

立命館中学校美術部と立命館高等学校美術部と有志の生徒たちが、「平和」をテーマに作品を制作しました。時に大きくて漠然とし、時に具体的で身近にも感じる「平和」というものを、どのようにとらえ、どのような表現を行っていくべきなのか…。多くの生徒たちが、テーマに悩み、考えを巡らせながら、自分なりの平和を表現していった作品たちの展覧会です。中学1年生から高校3年生までのそれぞれの平和をぜひご覧ください。

本展では、ともに2023年に京都精華大学を卒業した2名の新進気鋭の作家、三木梨々花とLiisaの作品を紹介する。前者は洋画、後者はマンガと学んだ分野は異なるが、どちらもモチーフに子どもが登場し、言葉を介さない物語性が作品の魅力であることが共通する。
「もういいよ」を合図に始まるかくれんぼ。森の中を一人で分け入って探すときの鬼の子どもの心細さや、近づいたようで見つからない不安。他の子たちの気配を遠くに感じながら、しばし一人だけで隠れる子どものドキドキ感。「みいつけた!」は、隠れている側からすれば「見つかってしまった」でもあり「見つけてもらえた」という安心感でもある。悔しいけど嬉しい。誰もが経験したかくれんぼに凝縮される人間模様や表裏一体に絡み合う様々な感情は、人と人との繋がりにおける永遠のテーマのように感じられる。
子どもの純粋さと残酷さといった矛盾を孕む本質に向き合い作品を作ってきた三木梨々花は、作品の表と裏で異なるイメージで子どもを描き、その精神や個性を多面的に表現する。会期中は作品の配置を毎日変え、物語を進展していく。Liisaは子どもが登場する風景を描くが、日常と非日常、懐かしさと違和感がクロスし、鑑賞者に記憶と空想を行き来させる。さらにマスキングテープによる線が空間を支持体として広がり、現実の世界に物語が侵食していく。
空間に広がるインスタレーションを通じて、鑑賞者には作品世界と自身の幼少期を重ねて体感してもらいたい。未完成だった「私」や「あの子」を思い起こし、大人になっても私たちが持っている「子どもの心」を見つめる機会になればと願う。

 京都高等工芸学校シリーズ第4弾は、石膏像をとりあげます。
 京都工芸繊維大学の前身校のひとつ京都高等工芸学校は、明治35年(1902)、京都の伝統産業の近代化と新しいデザインをうみだす人材育成を目的として開校しました。同校のデザイン教育の要はデッサン指導でした。伝統にとらわれない独自のデザインをうみだすための基礎能力として、実物の写生によりモノのカタチを正確にとらえることが重視されたのです。そこでモデルとして、海外から取り寄せられたのが《ミロのヴィーナス全身像》をはじめとする石膏像の数々でした。京都工芸繊維大学美術工芸資料館には、1794年開業のルーブル美術館ムラージュ工房やドイツのギプス・フォルメライ、また明治早期に東京赤坂で石膏像の製造販売を手がけた菊地鋳太郎(1859-1945)による石膏像など、開校初期に収集された11点の石膏像が残されています。これらに加え2020年には、戦後の収集品を含む40体をこえる石膏像が学内から発見されました。
 開校当時、デッサンを軸とする「画学及び画学実習」を受け持ったのは、図案科の初代教授で洋画家の浅井忠(1856-1907)でした。浅井が青年期にまなんだ洋画塾、彰技堂や日本初の美術学校として知られる工部美術学校では、海外から取り寄せた石膏像をつかったデッサン指導がおこなわれており、浅井はこうした教育のノウハウを積極的に取り入れました。
 本展では、ルーブル美術館ムラージュ工房による《ミロのヴィーナス全身像》や菊地による《ラオコン像》など京都工芸繊維大学が所蔵する石膏像を一挙に公開するとともに、京都高等工芸学校の生徒によるデッサンをあわせて展示し、当時のデッサン教育の一端をご覧いただきます。

◎関連企画
○シンポジウム「デッサンモデルとしての石膏像」
明治~戦前期の美術教育機関における石膏像の果たした役割について考えます。

日時:2025年2月16日(日) 13:15~16:50(13:00開場)
会場:京都工芸繊維大学60周年記念館 1階
入場無料、申込不要

13:15      ご挨拶
13:20~14:20 基調講演「石膏模像小史 〜欧州から近代日本へ」
         金井直/信州大学人文学部・教授
14:20~14:50 報告「京都市立芸術大学芸術資料館の石膏像について」
         松井菜摘/京都市立芸術大学芸術資料館・学芸員
14:50~15:20 報告「京都工芸繊維大学の石膏像について」
         和田積希/京都工芸繊維大学美術工芸資料館・特任専門職
             (学芸員)
休憩
15:35~16:45 ディスカッション
         司会:並木誠士/京都工芸繊維大学美術工芸資料館・館長
16:45      ご挨拶

*当日、美術工芸資料館は閉館中ですが、シンポジウム終了後に1階展示のみご覧いただけます。

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○協力:京都・大学ミュージアム連

本展覧会は、京都精華⼤学芸術学部造形学科に所属する 3 回⽣ 7 名によるグループ展です。 私たちは、年齢、⽣まれ育った場所、使⽤する⾔語、専⾨とするメディアなど様々な違いを抱えています。根底にある価値観がバラバラな中で表出される作品にはどのような関係性が⾒出せるでしょうか。
会場は7つの章に分けられ、それぞれの作家の作品と背景にある物語を紡いでいく形で展開します。
展覧会タイトルの「etc…」は、英語で「など」を⽰す「etc.」と、⽇本語の⽂章で余韻や関連する語をつなぐときに使⽤される「…」を組み合わせた⾔葉で、多様なバックグラウンドを持つ作家をつなぐという意味を持っています。
偶然の重なりで出会った 7 名にとって、なぜアートが必要なのか、⼈間にとって根源的な表現という⾏為から何を受け取るのか。様々な物語の交錯から新しいインスピレーション/価値観が⽣まれることを願います。

ごあいさつ

私にとって、「家族」とは「健康」に似ています。健康な時に「健康であること」を意識しませんよね。
病気になって初めて自分の健康状態に敏感になります。「家族」も「健康」と同様に、「このまま、いつまでも同じ形が続くわけではない」「良いこともあれば悪いことも起こる」と知った上で、最悪な状態に陥らないようにマネジメントする必要があると思います。
子育ての悩み、親世代の介護問題、夫婦課題、家族には色々なことが起こります。何も起こらない家族は、世の中には一組もありません。だから「何も起こらない家族」を目指すのではなく、何が起こっても「なんとか乗り越えることができる」力を身に付けるべきです。漫画「木陰の物語」に触れることで、さまざまな家族のあり方や考え方に出会います。漫画には答えはありせんが、心のどこかに響き、困った時の味方になりますように、そして明日への元気な一歩に繋がれば、私はとても嬉しく思います。

【関連企画】
物語と土地の力 ~東日本・家族応援プロジェクトとフクシマを巡る旅~
第1部 東日本・家族応援プロジェクトの軌跡 2011~2023
第2部 フクシマからチェルノブイリへ-往還する物語と土地の力-

■会 場:立命館大学国際平和ミュージアム1 階 企画展示室
■会 期:2025年1月13日(月)~30日(木)
■主 催:立命館大学大学院人間科学研究科 東日本・家族応援プロジェクト

 京都高等工芸学校シリーズ第3弾は、アメリカの工芸デザインをとりあげます。
 明治35年(1902)、京都の伝統産業の近代化と新しいデザインをうみだす人材育成を目的として京都高等工芸学校が開校しました。同校では、教材としてポスターや工芸品など多くのデザイン資料が収集されました。校長の中澤岩太(1858-1943)をはじめ、図案科初代教授をつとめた洋画家の浅井忠(1856-1907)や建築家の武田五一(1872-1938)らは、留学や「アール・ヌーヴォーの勝利」と謳われた1900年パリ万国博覧会をつうじて、ヨーロッパの技術やデザインをまなび、積極的にその手法を教育に取り入れました。そのため開校初期の教材にはヨーロッパ由来のものが多くみられます。
 一方で、1860年代後半から本格的に産業革命を展開したアメリカは、独立100周年を記念した1876 年のフィラデルフィア万国博覧会の開催をきっかけに、多数の博覧会を成功させ、19世紀末にはヨーロッパを凌ぐ生産力をみせるようになります。デザインの分野でも独自のアール・ヌーヴォーを開花させ、世界の注目を集めました。京都高等工芸学校でも、明治39年に図案科助教授の牧野克次(1864-1942)らが渡米し、現地で活躍をするとともに、明治41年には、武田五一も議院建築の調査のため欧米を視察し、サクラメントやワシントンを訪問しています。また1909年からルイス・コンフォート・ティファニー(1848-1932)によるガラス器やルクウッド製陶所、ヴァン・ブリッグル製陶所による陶器などが教材として収集されており、アメリカの新興デザインを強く意識しはじめていたことがわかります。
 京都高等工芸学校の教員たちが注目した19世紀末から20世紀初頭のアメリカの工芸デザインの魅力をお楽しみください。

本展覧会では、江戸時代以降の東本願寺の画事に注目します。江戸時代当初の画事は、狩野山楽をはじめとする京狩野派が担ったことが記録されます。しかし、その後は京都画壇だけでなく狩野探幽ら江戸の狩野派、さらに近代には院展作家の作品も含まれる等優れた作品の数々が東本願寺に所蔵されていました。
 本展を通じて、かつての東本願寺をとりまいた美術品制作と伝世の環境に、思いをはせていただくことができたら幸いです。

~主な展示品~

・「相撲図絵巻」   狩野 山雪 作
・「黄初平図」    円山 応挙 作 
・「狗子遊戯図」   土方 稲嶺 作
・「枳殻御殿春秋図」 岸 連山 作
・「蓮華之図」    幸野 楳嶺 作
・「東山暁色図」   横山 大観作  
                  等
 ※その他、数点の展示物がございます。

国際文化資料館2024年度企画展Ⅱ

「新収蔵品 中国美術展」

国際文化資料館では多様な方面から資料の寄贈を受けており、近年では、いけばな小原流三世家元小原豊雲氏の古代南米美術コレクションや、宮武辰夫氏の台湾などの民族資料コレクションがあります。2019年、本学日本語学科教授彭飛先生の紹介で中国美術品の寄贈を受けました。本展は、京都外国語大学中国語学科創設50周年を記念し、この新たに寄贈を受けた中国美術品計50点を紹介します。美術品は主に青銅器、陶磁器、書画、硯、墨などになります。

今回の寄贈を受けて、国際文化資料館の中国コレクションは、新石器時代黄河流域の彩陶、古代塑像に始まり、近世の書画骨董まで含まれることになり、当館を代表するコレクションのひとつになりました。質の良いコレクションは不思議な引力を持ちます。これをきっかけにさらにコレクションが増え、半世紀を超えて発展する中国語学科と共に日中の文化交流に寄与することができればと考えています。

 

会 期:2024年11月18日(月)~12月20日(金)

時 間:10:00~16:00

休館日:土曜日・日曜日・本学が定める入構不可日(11/21・11/22)

会 場:国際文化資料館(第二分館3階・4階)

主 催:京都外国語大学国際文化資料館

監 修:彭飛(日本語学科教授)、南博史(国際貢献学部教授)

特別協力:周天華、蔡諾傑、葉瑞櫻、平岩美希ほか ※敬称略

協 力:京都外国語大学中国語学科、博物館学芸員課程、国際言語平和研究所

宮崎生まれの画家・坂本正直(1914~2011)は、輺重兵として中国・台湾で二度の従軍経験があり、復員後は美術教師を務めながら、生涯にわたって戦争をテーマに作品を作り続けました。本企画では、坂本が特に強いこだわりを持って取り組んだ戦場での加害行為に関わる作品の展示を通じて、一人の兵士がどのように加害者となっていき、その体験と戦後どのように向き合ったのかを考えます。

広島・長崎以外で暮らす被爆者は、現在 3 万人を超すと言われている。
全被爆者の約 1/3 にあたるこれら「被爆地以外の被爆者」は、周囲の無理解や差別の中、被爆者としての声を各地で上げてきた。
1956 年、日本被団協の結成と同年に、京都の被爆者たちは原爆被災者の会(京友会)を結成した。
死没者の慰霊と生存被爆者の援護を中心にすえた、静かな運動の始まりであった。
本企画では、この京友会の発足から今日に至るまでの過程を、彼ら彼女らの周囲にあった蜷川府政や空襲記録運動など府下の戦後史とともに跡付けていく。

日常の中にある 小さなしあわせに気づくそんな展覧会を目指しました
心が しあわせで満たされたら自然と誰かと分かち合いたいという気持ちも出てきます

自分や 自分の隣にいる人を大切にする
それが一番小さくて でも力強い
平和への近道だと 信じています

 江戸時代を代表する浮世絵師である歌川広重(1797-1858)の名所絵版画の傑作《江戸名所百景》(安政4年/1857)は、幕末の江戸の名所を斬新かつ叙情的なアングルで切り取っている。いまや官庁街の霞ヶ関ではのどかに凧揚げをしており、上野の不忍池はいまも変わらぬ花見客の賑わいがみられる。広重の目を通して、現代のわれわれは、江戸のまちの様子を身近に、そして、どこか懐かしい気持ちで感じることができる。一方、おなじ広重の《京名所》(天保5年/1834頃)は、嵐山や金閣寺といった京の内外の名所を季節感ゆたかに描き出している。
 広重が京や江戸のまちを活写してから2世紀近くを経たいま、京都も東京も大きく様変わりをしている。道路も建物も乗り物も、もちろん人びとの服装や行動も変わっている。祇園社や清水寺のような社寺はともかく、品川にしても滝野川にしても、もちろん霞ヶ関にしても当時の面影は残っていないようにみえる。広重が描いた名所のなかには、もはや名前を残すだけのようなところすらある。でも、ほんとうにそうだろうか。広重の品川とわれわれの品川には、じつは底流のように通じ合う「なにか」があるのではないだろうか。それを写し取ろうとしているカメラマンがいる。
 今回の展覧会では、アメリカ人写真家ブエノ・アレックス氏が広重の描いた名所の「いま」を撮影した写真を展示して、本歌である広重作品がどのように現代によみがえっているのかをお楽しみいただきたいと思います。

○会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館 2階

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○特別協力:ブエノ・アレックス氏(東京大学グローバル教育センター・特任講師)
○協力:京都・大学ミュージアム連携

村田泰隆氏によって蒐集・寄贈された蝶類コレクションを展示する「蝶に会える日」シリーズは、今回で三回目を迎えます。これまでの展示では主に海外の蝶を紹介してきましたが、今回は日本の蝶に焦点を当てます。本展では、膨大なコレクションの中から厳選した約三十六箱の標本を通して、日本列島の蝶類相(特に冷涼な環境に取り残された「遺存種」と呼ばれる蝶や、東アジアに固有の蝶であるギフチョウ属、そして南方から飛来し続ける「迷蝶」に注目して)、京都の蝶の今昔、アリとともに生きる蝶、ゼフィルスの多様性、外来種、そして危機に瀕する蝶に迫ります。今回ご紹介するのは日本に生息する蝶のごく一部ですが、都市部の日常生活ではなかなか目にすることのない蝶の標本も展示いたします。蝶の美しい色彩を楽しんでいただき、日本列島の自然が育んだ奥深い多様性とそのかけがえのない価値について思いを馳せる機会となれば幸いです。

※展示室の一角を利用した小規模な展示となります。

京都教育大学教育資料館には多数の楽器が収蔵されています。その中には、教育大学の附属施設であることを反映し、教育のために開発された楽器や、子どもたちの遊びの中で使用され得る玩具的楽器も少なくありません。

本展「楽器の世界:子どもと音楽をつなぐ楽器展」では、世界のさまざまな玩具的楽器や教育用楽器に光を当て、教育という営みのなかで楽器に与えられたさまざまな機能を紹介していくことで、音楽を教えることの意味をあらためて問い直す展示にしたいと考えています。大人も子どももぜひお楽しみください。

 

関連イベント
■科学と音楽のワークショップ:「こすって鳴らす楽器のふしぎ」

講師:上羽貴大(大阪市立科学館 学芸員)
樫下達也(京都教育大学音楽科 准教授)、増田真結(京都教育大学音楽科 准教授)

日時:令和6年11月3日(日) 13時~15時 ※前後に展示見学あり(自由参加)

会場:音楽演奏室

申し込みはこちらから。

■講演会:「世界は楽器に満ちている!:楽器の起源・機能・分類とは」

講師:岡田恵美(国立民族学博物館/総合研究大学院大学 准教授)

日時:令和6年12月1日(日) 13時~14時 ※前後に展示見学あり(自由参加)

会場:附属図書館北館2階 研修・セミナー室1

申し込みはこちらから。

同志社大学歴史資料館分館(ハリス理化学同志社ギャラリー2階)では、特集展示「みやこは遠くなかりけり 中世平泉寺僧侶の道筋をたどる」を、10/19(土)~12/14(土)に開催します。

本展覧会では室町幕府三代将軍足利義満が建立した相国寺(京都五山第二位)の僧侶と平泉寺(福井県勝山市)の僧侶との交流の記録を通して、みやこと平泉寺との結びつきを紹介します。
平泉寺は、奈良時代に創建したと伝わる白山信仰の拠点寺院です。平安時代後期以降は、宗教活動のほかに、経済・政治・軍事的な権力,勢力を持って地城に君臨しました。特に室町から戦国時代には、壮大な社殿・堂塔や、「六千坊」と糊する院・坊(僧侶の屋敷)を漣ね日本屈指の「都市」となりました。近年の発掘調査でも、計画的に区画された院・坊の跡や石垣,石畳道が見つかっています。また、そのころの平泉寺僧侶は地域のみにとビまらず、当時の重要な人物たちと政治的な役割をみやこで担い、活動を行っていました。
会場では、写真や解説パネル、発掘調査で出土した日常生活用の土器陶磁器をはじめ輸入陶磁器の優品や相国寺鹿苑院の仏堂の屋根を飾った瓦などを展示し、平泉寺と相国寺の歴史・文化・相国寺僧侶たちとの交流について紹介します。

みなさまのご来場をおまちしております。

 

京都精華大学ギャラリーTerra-Sでは、ギャラリーの特徴的な展示空間を生かし、活躍する本学卒業生及び教員のアーティストを紹介するグループ展「Seika Artist File #2『Imagined Sceneries ―7つの心象風景をめぐる』」を開催します。

「Seika Artist File」展の第二弾となる本展は、「Imagined Scenery(心象風景)」をキーワードに、石原 葉、岸 映子、佐川晃司、ジダーノワ・アリーナ、高原秀平、西村 涼、山本理恵子の7名の作家で構成します。

絵画制作をとおして、個人の無自覚な視線の可視化や他者との対話について思考し続ける石原。「彩石象嵌」という独自の技法を確立し、独創的な幾何学形体の陶芸作品を生み出す岸。色面や線、幾何学形などをモチーフに、一貫してモダニズム以降の絵画を追究する佐川。人が話す日常や記憶を描いた映像作品をとおして、鑑賞者の記憶と対峙するジダーノワ。自然と関わりながら様々な風景やその印象を縫い合わせるように、一枚の抽象画を描く高原。様々な土地に身を置き、自然物の流動性や壮大な時間の経過を“線”として版に刻みこむ西村。図像同士の関係性と境界に着目し、多様な手法で図と地が共振する絵画を試みる山本。

彼ら・彼女らの作品は、一括りに「心象風景」と語れるものではありませんが、自身の心に浮かんだ景色や思考、記憶をとある風景として、私たちの前に表出させている点が共通しています。作家たちがどのように世界と自身との関係性を意識、思考し、日々考察を続けているのか。7つの展示室を順にめぐりながら、彼ら・彼女らが紡ぎだす「心象風景」をとおして、新たな視点/価値観と出会う機縁となれば幸いです。

 

アーティストプロフィール

石原 葉|ISHIHARA Yo
1988年宮城県生まれ。2011年東北芸術工科大学芸術学部美術科日本画コース入学。2020年東北芸術工科大学大学院芸術工学専攻博士課程卒業。2022年より京都精華大学芸術学部特任講師。
現代社会における共同体を「絶え間なく了承を繰り返す場所」と仮定し、個人の無自覚な視線の可視化や他者との対話について絵画制作を通して思考し続けている。
近年の主な個展に、「Walking in the forest」(Cyg art gallery、岩手、2022)、「Who」(靖山画廊、東京、2020)、「Jungle in your eyes」(フリュウ・ギャラリー、東京、2018)など。主なグループ展に、「京都日本画新展2024」(美術館「えき」KYOTO、2024)、「後発的当事者」(原爆の図・丸木美術館、埼玉、2022)、「山形 美の鉱脈」(山形美術館、2020)など。
演劇集団ゲッコーパレード所属。佐藤国際文化育英財団第25期奨学生、神山財団芸術支援プログラム奨学第2期生。

岸 映子|KISHI Eiko
1948年奈良県生まれ。2001年京都精華大学人文学部卒業。2004年国際陶芸アカデミー会員。
多様な表現が可能な陶芸の魅力に惹かれ、土作りから始まる「彩石象嵌」という独自の技法を確立し、独創的な幾何学形体の作品を生み出している。
近年の主な展覧会に「TEFAF Maastricht 2024」(MECC Maastricht Forum 100、オランダ、2024)、「現在日本の第36回 京都美術文化賞受賞記念展」(京都文化博物館、2024)、「京の作家が魅せるInteractive(工芸)」(京都高島屋美術部、2022)、「北海道陶芸の変遷 – 現代陶芸の今」(札幌芸術の森美術館、北海道、2022)、「Pure Form: Japanese Sculptural Ceramics」(Art Gallery of South Australia/オーストラリア、2022)、「International Women’s day」(チェルヌスキ美術館、フランス、2021)など。

佐川晃司|SAGAWA Koji
1955年福井県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程満期退学。1985年から2023年まで京都精華大学芸術学部教員。京都精華大学名誉教授
40年以上、一貫して絵画という表現形式そのものにこだわり、フォーマリスティクな立場から絵画を制作し続けている。本展では、1981~2年頃に制作した佐川にとっての出発点ともなった色面を構成要素とした作品を展示。
主な個展に、「絵画―見ることの向こう」(金津創作の森、福井、2016)、「場からの創出」(豊田市美術館、愛知、2006)、「近作展10 」佐川晃司(国立国際美術館、大阪、1992)など。主なグループ展に、「絵画:想起のかたち 佐川晃司×安喜万佐子展」(奈義町現代美術館、岡山、2023)、「DIALOGUES」(滋賀県立美術館、滋賀、2002)、「水戸アニュアル‘95 絵画考ー器と物差し」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城、1995)、「現代美術への視点ー形象のはざまに」(東京国立近代美術館、東京/国立国際美術館、大阪、1992)など。

ジダーノワ・アリーナ|ZHDANOVA Alina
1992年モスクワ生まれ、北海道育ち。2024年京都市立芸術大学博士後期課程満期退学。2024年より京都精華大学メディア表現学部特任講師。映像作家、キュレーターとして京都を拠点に活動。
人の記憶や人格、その背景にある社会背景に興味を持ち、様々な国や街でリサーチを行う。人が話す日常や記憶を使って、鑑賞者の記憶と対峙するような作品を作る。
近年の主な展覧会に「Unknown Traces」(アートスペース感、京都、2024)、「VIDÉO CLUB KYOTO」(FRAC Champagne-Ardenne フランス、2023)、「第1回MIMOCA EYE」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2022)など。主なキュレーションに「ゆらゆらゆれる記憶と痕跡」(瑞雲庵、京都、2022)、「Symptoms -4つの思考と身体性-」(アートスペース感、2021)など。主な受賞歴に「Kyoto Art for Tomorrow 2021 ‒京都新鋭選抜展-」最優秀賞、ゲーテ・インスティチュート・ヴィラ鴨川国際交流賞(京都文化博物館、2021)など。
https://www.zhdalina.com/

高原秀平|TAKAHARA Shuhei
1990年兵庫県生まれ。2014年京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。
日常に潜む自然を拾い集め、それらの印象を縫い合わせるように、豊かな色使いで1枚の抽象画を描く。
近年の主な個展に「廻って遊んで抜け出して」(2kw gallery、滋賀、2024)、「開館40周年記念 アトリエ展 VOL.2「高原秀平 展」」(西脇市岡之山美術館、兵庫、2024)、「鳥が星を巡るとき」(gallery301、兵庫、2022)など。主なグループ展に、「めぐる」(Gallery島田、兵庫、2024)、「シマダデマンダラ」(Gallery島田、兵庫、2023)など。
https://www.shuheitakahara.com/

西村 涼|NISHIMURA Ryo
1993年京都府生まれ。2016年京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。2018年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了。
ドライポイント(銅版画技法の一種)を用いて自然物の流動性や壮大な時間の経過を“線”として刻み込む作品を発表している。
近年の主な個展に、「私の生命を旅する / 私の形象を追放する」(Kagoo[ART OSAKA2024])、2024)、「悠久をただよう」(アートゾーン神楽岡、京都、2024)「時に潜る」(国際芸術センター青森、2023)、「柔らかな風景」(大阪府立江之子島文化芸術創造センター、2023)など。グループ展に「Kyoto Art for Tomorrow 2024 ー京都府新鋭選抜展ー」(京都府文化博物館、2024)、「もののうつり」(京都芸術センター、2023)など。
https://www.instagram.com/ryonishimura_works/

山本理恵子|YAMAMOTO Rieko
1985年大阪府生まれ。2011年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程油画修了。2019年より京都精華大学芸術学部非常勤講師。
図像同士の関係性と境界そのものに着目し、筆触により逸脱すること/留まることを繰り返しながら、多様な手法で図と地の共振する絵画を描く。2023年よりイメージ生成AIを用いたプロジェクトAIOA(AI Order Art)を始める。
近年の主な個展に、「Floating Structural Body」(2kw gallery、滋賀、2023) 「Urlandschaft -原風景-」(MEDIA SHOP gallery2、京都岡崎蔦屋書店、京都、2021)、「夜更のサンルーム」(千鳥文化ホール、大阪、2021)、「真昼の星々」(hitoto、大阪、2019)など。主なグループ展に、「アートがあればII ─ 9人のコレクターによる個人コレクションの場合」(東京オペラシティ アートギャラリー、2013)、「VOCA」(上野の森美術館、東京、2010)など。https://riekoyamamoto.com/

 

関連イベント

出品作家によるオープニング・トーク
日時:2024年11月15日(金)17:00-18:00
会場:ギャラリーTerra-S
※トーク終了後、レセプションを開催予定。

ワークショップ「風景を彫る」
講師:西村涼(本展出品作家)
日時:2024年11月16日(土)13:00-16:00
会場:ギャラリーTerra-Sほか
定員:10名
参加費:500円(本学学生は無料)※要事前申込・先着順

ワークショップ「絵とAIイメージの往来に起こること」
講師:山本理恵子(本展出品作家)
日時:2024年11月23日(土)13:00-15:30
※ワークショップ終了後、アフタートーク
ゲスト:倉地宏幸(大阪電気通信大学 総合情報学部 ゲーム&メディア学科 准教授)※予定
会場:ギャラリーTerra-Sほか
定員:10名 ※小学生は大人1名付き添いのもと、ご参加ください。
参加費:500円(本学学生は無料)※要事前申込・先着順

ワークショップ「ひろがる視(め)と身体(からだ)」
講師:ジダーノワ・アリーナ(本展出品作家)
日時:2024年12月7日(土)10:00-17:00(昼休憩含む)
会場:ギャラリーTerra-Sほか
定員:12名
対象:映像や身体表現に興味のある方(初心者歓迎)
参加費:無料 ※要事前申込・先着順

ワークショップ「演じている人を描く」
講師:石原葉(本展出品作家)
ゲスト:崎田ゆかり(ゲッコーパレード)
日時:2024年12月14日(土)13:00-15:30
会場:ギャラリーTerra-Sほか
定員:10名
参加費:500円(本学学生は無料)※要事前申込・先着順

学芸員によるギャラリートーク
日時:2024年11月30日(土)14:00-14:30
会場:ギャラリーTerra-S ※申込不要

※諸般の事情により会期・時間・内容等が変更になる場合があります。
最新情報や関連イベントの申込方法などの詳細はギャラリーのWEBサイトをご確認ください。

○会場
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館1Fホール・2F / 60周年記念館1Fギャラリー

○入選者
秋田亮平┼金田充弘┼伊藤 優┼関田重太郎┼方 思韜┼南 昂希┼糸数海音┼細田晃太┼八木新平 / 板谷優志┼石井優希 / 上野辰太朗┼篠原 勲 / 大澤さほり / 柿木佑介┼廣岡周平┼中尾壮宏┼岩岡孝太郎 / 木内俊克┼バルナ・ゲルゲイ・ペーター┼戸村 陽┼岩見遥果┼近藤誠之介┼西村 穏 / 砂越陽介 / 澤 伸彦┼吉海早瑛┼市江龍之介 / 鈴木淳平 / 高池葉子┼尾野克矩┼佐藤緋里┼浜田英明 / 寺本健一 / 三輪和誠┼普川陽菜┼山田伸希 / 横井創馬

○審査員
青木 淳
中山英之
山田憲明
金野千恵
○アドバイザー
隈研吾

◎関連企画
京都展公開プレゼンテーション
「建築がたちあがる時――入選者と審査員が語る」
2024年10月12日(土) 14:00 – 17:30 (開場13:30)
@京都工芸繊維大学 60周年記念館1F記念ホール

○パネリスト
【審査員】
青木 淳
中山英之
山田憲明
○司会
山崎泰寛 (京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 教授)

○参加費 無料
○定員 180名
○申込不要(当日先着順)

○主催:鹿島出版会
○京都展共催:京都工芸繊維大学
○後援:朝倉不動産株式会社
○協賛:鹿島
○HP
http://www.kajima-publishing.co.jp/sd-review/

『源氏物語』は平安時代中期に紫式部によって書かれた長編物語で、全五十四帖からなります。日本を代表する古典文学であり、千年の時を超えて読み継がれてきました。物語では主人公の光源氏を中心に、平安時代における宮廷貴族の生活が鮮やかに描かれています。

平安時代に成立した『源氏物語』は、多くの人々によって書き写され、屏風やその他の絵画に表現されることで視覚的に鑑賞され、また香道の組香や貝合せの画題にみられるいわゆる「あそび」などを通して、貴顕から衆庶にいたるまで広く愛されて、現代まで伝わってきました。今日では、現代語訳だけではなく様々な言語に翻訳され、世界中で読まれる物語となっています。このように、『源氏物語』の世界は、文字にとどまらず絵画の題材やあそびのなかにも取り入れられ、多くの人々の心を魅了してやみません。

本展では、室町時代や江戸時代の『源氏物語』写本や、「源氏物語図屏風」(檀王法林寺所蔵)、香合せや貝合せなどの「源氏あそび」の品々を紹介します。また「蒔絵硯」(高陽院跡出土)や「車輪」(仁和寺院家跡出土)などの考古資料も合わせて公開し、紫式部の生きた時代の京都をしのびます。

この機会に、広がり続ける『源氏物語』の世界の一端に触れていただければ幸いです。

沖縄島北西部に浮かぶ伊江島では、沖縄戦で住民の約3分の1が命を失い、戦後も米軍による占領により島の約6割が軍用地として接収されるなど、住民たちの苦難が続きました。朝鮮戦争後の1955年に「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる米軍による強制的土地接収が伊江島で始まった際、非暴力の土地闘争をリードして、その後に沖縄で展開される「島ぐるみ闘争」への端緒を開いたのが阿波根昌鴻(1901-2002)でした。
阿波根は、島民たちと協力して米軍の暴挙や闘争の記録を残すことを徹底し、伊江島で唯一のカメラを手に、3000枚以上の写真を撮影しました。近年、阿波根が土地闘争の様子だけでなく、住民たちのポートレイトや日常のスナップを撮影していたことが分かりました。阿波根の写真集『人間の住んでいる島』(1982 年)にも収録されることのなかったこれらの写真は、阿波根たちの土地闘争が何を守ろうとした運動であったのかを考えさせてくれます。
本展は、阿波根が1950 年代半ばから1960 年代半ばにかけて撮影した写真のうち約350 点を展示し、戦争や開発による土地収奪が続けられている現代社会について問いかけようとするものです。

 

「不易流行」という言葉には、本質的で普遍的なものを守りながらも、新しい変化を取り入れていくという意味があります。私たちは、伝統や先人の教えを大切に学びながら、自分たちの新しい感性でいけばなに変化を重ね、日々取り組んでいます。
野に咲く花を美しいと感じ、その美しさをさらに引き立てたいと願う心から、古の人々はこの道を歩み始めました。私たちもまた、その道を一歩一歩進んでいます。時には迷いが生じることもありますが、そんな時には、必ず立ち戻れる伝統「道」の心強さに支えられます。
その道が狭ければ広げ、行き止まりであればその先を作りながら、時代を超えていく。自然が生み出す美しさに心を奪われ、いけばなを通して発見と驚きを繰り返していきます。
複雑化した現代社会を生きる私たちは、常に先が見えない不安を抱えています。不確かな世界の中で、時折、暗闇に押しつぶされそうになることもあります。しかし、私たちには、先人たちが築き上げてきた確かな道、「華道」があります。先人が灯し続けたその道のりは果てしないかもしれませんが、私たちは一歩一歩、その道を確かに踏みしめて進んでいます。
今回の展覧会では、「不易流行」の意味を改めて見つめ直し、揺るぎない伝統と新しい感性が生み出す部分の対比をより鮮明に表現したいと考えています。
この年に一度の華展は私たちの日々の活動の集大成です。ぜひ、ご高覧いただければ幸いです。

京都精華大学 嵯峨御流華道同好会一同

展覧会名の「てのひらのフォーム」は、私自身の制作方法に関わります。私は制作の手を止めずに作り続けること、大量に生み出された作品をもって、出来るだけ多くの展覧会・イベントに参加する事を作家としての目標としています。制作の当初は頭で考えて形や乾燥状態を把握していますが、繰り返す、すなわち反復によって次第に頭で考えずともてのひらの感覚で作品を作れるようになっていきます。

この繰り返し、反復の動き、身振りはさながらスポーツでお馴染みの「フォーム」のようでもあり、それを可能にするてのひらからは新たな「形態(フォーム)」が生み出されます。このように二重に意味をもつ「フォーム」を展覧会名にしました。

陶土という素材は、時間の経過によって作品の乾燥状態が変わり、作品の耐久性の関係で形やサイズに制約が生まれます。この素材の特性から生まれる制約が私の作品に影響を及ぼしています。

陶土と向き合い制作を続ける中で気づいたことや覚えた感覚を、ギャラリー空間に展開する作品たちを通して感じ取っていただけると幸いです。

 

国際文化資料館2024年度企画展Ⅰ

「田中四郎コレクション エジプト今昔物語~古代エジプト学とクルアーンのエジプトを知る~」

 

日本人はエジプトが大好き!私たちは何故、遥か異国の古代文明に魅了されるのでしょうか。本展覧会は、エジプトを中心に中近東で長く調査を続けてこられた故田中四郎名誉教授からご寄贈いただいた資料(田中コレクション)をもとに、日本とエジプトを繋ぐ3つのストーリーからその魅力に迫ります。

 

第一部「古代エジプト学」では、ヒエログリフ解読によってエジプトの考古学と文献史学が合体し成立していく古代エジプト学のいくつかのエピソードを、田中コレクションや本学付属図書館の稀覯書や資料から紹介します。第二部「エジプトのイスラーム世界」では、田中先生が撮影された写真や収集された生活道具を立体的に展示して、いまにつながるエジプトのイスラーム教やムスリムについての理解を深めます。第三部「エジプト好き日本!」では、身近にあるさまざまな資料からエジプト大好き日本人とエジプトとの長い関わりを振り返ります。

 

会 期:2024年8月1日(木)~8月9日(金)/8月19日(月)~9月27日(金)

時 間:10:00~16:00

休館日:土曜日・日曜日・祝日(※8月3日、4日、9月23日は開館)

場 所:国際文化資料館 3階・4階(受付は4階)

主 催:京都外国語大学 国際文化資料館

協 力:京都外国語大学付属図書館、博物館学芸員課程、国際言語平和研究所

京都精華大学大学院芸術研究科映像領域では、表現の素材・ツール・支持体としてデジタル・テクノロジーを駆使し、メディアアートという領域で作品を制作している。
私たちはデジタル機器を用いることで生まれる身体の拡張の可能性を考え、「感覚の拡張=Open The KAN」を本展覧会のテーマにした。メディアアート作品による芸術的な探求を通して、真新しい感覚を開き、これまで持っていた固定概念を覆したり、肉眼で見えている物事を、異なった視点で形にすることを試みる。
デジタル時代にあって「カン」にはどのような可能性が秘められているのか。本展がこのような問いに向き合う機会となれば幸いである。

2024年12月7日(土曜日)から2025年2月11日(火曜日・祝日)まで、京都市立芸術大学芸術資料館移転記念特別展 京都芸大〈はじめて〉物語  第4期「Road to GEIDAI〈芸大〉-美術学部改革と新しい教育をめぐって—」を開催します。

本学は終戦後、新制大学発足にともない昭和25年に京都市立美術大学として開学しました。一方、本学音楽学部の前身となった京都市立音楽短期大学は昭和27年に設置され、両学は昭和44年に京都市立芸術大学の美術学部、音楽学部となり、教育の道をともに歩むことになりました。同年全国で拡大した学生運動の影響で、本学でも美術学部の改革案が実行されていきました。学科の再編が行われ、1回生の共通ガイダンス実技の開始、「研究テーマ」の実施など現在のカリキュラムにつながる独自の教育が始まりました。また西洋画科(現・油画専攻)から版画や構想設計などの新たな専攻が登場するなど、本学の教育の多様化が進みました。 戦後からのめまぐるしく変化する時代に本学が取り組んだ教育における〈はじめて〉の試みについて、沓掛キャンパスへ移転した昭和55年頃までの大学史に関わる収蔵品とともに振り返ります。

【ギャラリートーク】

12月10日(火)12:15~12:45(本展担当学芸員)

【講演会】

「芸術資料館のコレクション」12月21日(土)13:30~15:30(無料・事前申込不要)

(画像:須田国太郎《馬墨画》 昭和25年)

2024年9月21日(土曜日)から11月24日(日曜日)まで、京都市立芸術大学芸術資料館移転記念特別展 京都芸大〈はじめて〉物語  第3期「道を拓きしものたち-知られざる先駆者-」を開催します。

開校以来140年余り、本学は美術を志す多くの若者たちによって歴史が刻まれてきました。その中には、明治期に各分野で初めて道を拓いたものの、その後の歴史の中では忘れられた人も少なくありません。ここでは初めての日本画卒業生、初めての西洋画卒業生、初めての女子卒業生等を紹介します。併せて収蔵される最初期の卒業制作を展示します。ここで展示される西川桃嶺という画家は、明治13年12月、京都府画学校の第1期として唯一の卒業生となった人物です。その作品は希少で、忘れられた画家でしたが、近年当館に大作が寄贈されました。この度、保存修復専攻の学生の手により修復され、初公開されます。

【ギャラリートーク】

10月8日(火)12:15~12:45(本展担当教員)

【旧校地ツアー】(9月10日(火)10時から申込み開始)

コース①京都御苑-吉田 2024年10月19日(土)13時集合

コース②泉涌寺-今熊野 2024年11月16日(土)13時集合

申込みはコチラ

(画像:西川桃嶺《玄武洞図屏風》大正6年)

漆で絵を描き、その上に金粉や銀粉など、様々な金属粉を蒔きつけ加工し模様を浮き上がらせる蒔絵。中でも「京蒔絵」は、8世紀以降、都となったここ京都において、多くの職人たちの手で洗練され、繊細で優美な、日本を代表する伝統工芸となりました。

下出祐太郎氏は、1912(明治45) 年に開業した下出蒔絵司所三代目として様々な蒔絵作品を世に出すと同時に、京都産業大学文化学部の教授職を務めてこられました。

本展では、下出氏が手掛けた蒔絵作品を通して、受け継がれる京蒔絵の美と技能の粋をご紹介します。

 

◆下出 祐太郎 しもで ゆうたろう(1955-)

京都市出身。1995(平成7) 年に下出蒔絵司所三代目を継承し、即位礼や大嘗祭の神祇調度蒔絵に携わるなど、神仏具蒔絵の新調・修復を行う。また、高台寺蒔絵の材料・技法の研究と復元制作、京都迎賓館の調度品の制作など様々な場で活躍している。2015(平成27)年より京都産業大学文化学部に奉職。2021(令和3)年卓越した技能者(現代の名工)受章、2023年(令和5)年春の叙勲瑞宝単光章受章、令和5年度京都市芸術振興賞受賞。

 京都工芸繊維大学の前身校のひとつである京都高等工芸学校(明治35年開校)では、教材として多くの「参考品」を購入していました。それらは、講義や実習で生徒に示されただけでなく、地元京都で伝統産業に携わる人びとにもひろく公開されていたことがわかっています。
 京都高等工芸学校時代に購入された参考品としては、ロートレックやクリムトなどによるポスター類やアール・ヌーヴォーの陶磁器、ティファニーのガラス器類などがよく知られています。京都高等工芸学校の図案指導が欧米の最先端のデザイン状況を伝えることを中心としていたため、わたしたちもそのような欧米の美術工芸品をみていただく展覧会を多く企画してきました。しかし、京都高等工芸学校では、そのような欧米の美術工芸品だけではなく、日本の古美術やさらにアジアの工芸品や民族衣装なども購入し、収蔵していました。今回の展覧会では、京都高等工芸学校初期の収集品のなかから、これまであまり注目してこなかった中国大陸や朝鮮半島で製作された陶磁器を展示します。そこには後漢時代の出土品や三国時代の新羅でつくられた土器なども含まれています。京都高等工芸学校の図案教育の、これまで知られていなかった側面をご覧にいれることができると思います。
 明治時代後期から大正時代にかけての「ものづくり教育」のなかで収集された、ちょっと意外な東アジア陶磁器の数々から、当時の東洋へのまなざしをお楽しみください。

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○協力:京都・大学ミュージアム連携

 秋季企画展では「大谷大学博物館の逸品」と題して、館蔵の優品、重要文化財を紹介してきました。しかし、これ以外にも「逸品」にふさわしい作品は多く存在しています。まさに重要文化財指定予備軍といっても過言ではありません。

 今回そのような中から稀仏典二品、『賢聖義略問答(げんじょうぎりゃくもんどう)』巻第一と『大乗理趣六波羅蜜経釈文(だいじょうりしゅろっぱらみつきょうしゃくもん)』を紹介します。

 前者は平安時代中期の法相宗の僧・仲(中)算撰になる、唐・慈恩大師窺基撰『二十七賢聖章(にじゅうしちげんじょうしょう)』の注釈書で、平安時代の永祚二年=九九〇に書写された現存最古写本です。後者は弘法大師空海が唐より将来した『大乗理趣六波羅蜜多経』の注釈、特に難解な文字の読みなどを解説した音義にあたり、平安時代の書写になる天下の孤本です。

【実習生展を同時開催】
 同時開催の実習生展は、学芸員の資格取得をめざす博物館学課程の受講生が最終成果として企画からすべてをおこなう展覧会です。
A・B・Cの3班がそれぞれ企画したもので、A班「京都(みやこ)の怪異」は千年の都・京都にまつわる不思議な出来事の数々を、B班「空海の足跡」は生誕1250年をむかえた空海の生涯やその教えや信仰などを、C班「戒律の伝来」は仏教の戒律に注目して、日本伝来の諸相をそれぞれ紹介しています。

 秋季企画展では、きわめて貴重な仏典の息吹を鑑賞いただくとともに、実習生の苦労の一端を感じていただければ幸いです。

本展覧会は2008年より京都という土地で陶芸を学ぶ学生有志が交流を持つ機会として企画され、参加する学生による運営にて開催されてきました。

学生である私たちが陶芸と向き合い、それぞれが感じることや考えたことを通じて、古くから伝わる伝統工芸としての陶芸から現代美術としての陶芸までの可能性を提示いたします。

様々な学生の個性溢れる作品から、各大学の特色や違いなどを肌で感じていただける展覧会を目指しました。暑さが厳しい季節ではありますが、ご覧いただけることを出品者一同願っております。

京都精華大学
京都市立芸術大学
京都芸術大学
嵯峨美術大学
京都美術工芸大学
大阪芸術大学

2024 合同陶芸展 公式Instagram
https://www.instagram.com/goudou_tougeiten/

 

 美術工芸資料館では展覧会「パリをめぐるデザイン」を開催します。この展覧会はパリ2024オリンピック開催にちなみ博物館実習の一環として、本学学生がキュレーションと展示全般を担いました。
 本展では、ジャポニスムに始まり、アール・ヌーヴォー、アール・デコというモダン・デザインの二大潮流を経て、20世紀後半のヴィジュアル・イメージまで、広告ポスターを中心に約50点の作品を通して、パリのデザインを紹介します。
 19世紀末のパリでは、産業革命やパリ万博など華々しい時代ベル・エポックを象徴する出来事が多数ありました。多くの美術館や教育施設があることから、パリには各地から若い芸術家たちが集まり、新聞や雑誌による美術批評が盛んに行われました。多色リトグラフという印刷技術の大きな進歩による美しい広告ポスターが街を彩るだけでなく、百貨店や地下鉄などの建築物や、家具、書籍も華やかなデザインで装飾されていきました。
 展覧会の前半ではポスターの「スタイル」に焦点を当てて、デザインとイメージの変遷を紐解きます。後半ではポスターの「広告」としての機能に焦点を当てて、お酒のポスターと交通のポスターを中心に、ポスターの社会的役割とデザインの関係を探ります。
 日本の影響を受けたデザインであるジャポニスムから始まり、後に海外のデザインにも影響を及ぼすアール・ヌーヴォーとアール・デコのデザイン、19世紀末から20世紀後半のパリの街を彩る広告ポスターの展示を通して、パリのデザインの変遷をお楽しみください。

○会場 京都工芸繊維大学美術工芸資料館 2階
○主催 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○協力 京都・大学ミュージアム連携

 いよいよ7月26日から4年に1度のスポーツの祭典オリンピックがパリで開催されます。クーベルタン男爵の提唱により誕生した近代オリンピックは、1896年のアテネ大会をはじまりとして、たびたびの戦争による中止やモスクワ大会における米中日のボイコット、コロナ禍による延期などを経て、第33回を迎えます。パリでの開催は1900年、1924年につづいて3回目のことです。歴代のオリンピックでは、開催に向けて各国を代表する芸術家やデザイナーたちがロゴやポスターなどをてがけ、デザイン分野における一大イベントとなりました。
 本展では、1924年のパリ・オリンピックをはじめ、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が収蔵する歴代の夏季オリンピックの公式ポスターを公開します。 
 オリンピックがはじまるまであと約1ヶ月。平和の祭典とよばれるオリンピックが、少しでも穏やかな世界情勢のなかで開催されることを祈ってやみません。

〇主催 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
〇会場 京都工芸繊維大学美術工芸資料館2階第1展示室

今からちょうど120年前、兵庫県のある村で轟音とともに天より落ちる火の玉が目撃されました。村人の手により、火の玉の正体は重さ4.7kgの塊であることがわかり、その後その鉄塊は京都帝国大学へと渡り研究が行われました。その鉄塊こそが、京都大学における「地球外物質研究」の始まりを告げた「隕石」であり、村の名前から「岡野隕石」と名付けられました。岡野隕石はおよそ46億年前にこの太陽系のどこかで誕生した星の欠片であり、内部にはその星の一生が記録されています。しかし、その記録は「化学組成」に隠されていたり、「岩石の組織」が人知れず物語っていたり、簡単には読み解くことができません。私たちは200年以上前からそのような地球外物質-「宇宙からの手紙」-の解読に取り組み、太陽系の歴史を少しずつ紐解いてきました。

現在私達は、隕石に加えて、「宇宙から降ってくる塵(宇宙塵)」や、「探査機が持ち帰った天体の欠片(リターンサンプル)」など、特徴が異なる3種の天体の欠片を手にしています。そして、それらを解読するために数々の手法を編み出してきました。今回の企画展「宇宙からの手紙 隕石の発見からはやぶさ2の探査まで」では、地球外物質研究の背景と奥深さを、鉱物学という側面から切り取り、可能な限り実物と共に紹介いたします。

本展示では「宇宙からの手紙」である多種多様な隕石に加え、実際の宇宙塵やリュウグウ粒子等リターンサンプルも展観します。その中で、地球外物質研究の歴史、特に京都大学の今昔の研究について詳しく触れます。また、京都に落下・発見された唯一の隕石である「曽根隕石」の里帰り展示や、昨年度当館の屋上で行われた地球外物質探査など、地元の地球外物質も紹介いたします。微小な標本が数多く並ぶので、実際の地球外物質研究のスケール感を体感してもらいたいと思います。地球内外の石の比較や、石を読み解く鉱物学そのものについても触れ、さらには「流星刀」の展示(期間限定)などを例に、地球外物質と人々との関わりについても紹介いたします。本企画展示を通して、地球外物質をより身近に感じてもらい、秘められた面白さを伝えられれば幸いです。

本展「828.45K-Come & Go」は京都精華大学とソウル市立大学校の教員、在学生、卒業生による交流展です。2024 年3月にソウル市立大学校の赤レンガギャラリーにてソウル展を開催し、このたび京都展を京都精華大学ギャラリーTerra-Sで開催します。本学は10 年来、両校の教員が中心となって交流展を行うなど、日韓の親交を深めてきました。
展覧会タイトルの「828.45K」とは両校間の距離を表しています。本展では日韓を中心に活躍するシンガーソングライター・作家のイ・ランと劇作家・俳優の浜辺ふうをゲストに迎え、総勢30名のアーティストが社会と環境の急激な変化を両国からみつめ、独自の問題意識や世界観を作品で表現します。
本展を通して言語の壁を越えた文化的対話の場となることを目指すと共に、アーティストが構築する造形言語や、背景となるそれぞれの文化や価値観、アイデンティティにふれる機会となれば幸いです。

 

京都芸術大学 芸術館では、春季特別展として「眼の記憶/手の記憶」と題した展覧会を開催します。
本展は「記憶」という主題のもと、本学教員/画家の鷹木朗の絵画作品と、京都芸術大学芸術館の所蔵品である縄文土器類をコラボレーション展示するものです。

◽️鷹木朗 略歴
1957生
1980  ジャパンエンバコンクール(エンバ美術館)
1980  吉原治良賞展(大阪府立現代美術センター)
1983-91 CONTACT ’83-’91(京都府立文化芸術会館)
1999  アートドキュメント’99 —アジアの森から—(金津創作の森・福井)
1980  金山平三賞記念美術展(兵庫県立近代美術館)
2002  2002新鋭美術選抜展(京都市美術館)
2003  CAP EXHIBITION「party」(CAP HOUSE・神戸)
2009  架空通信 百花繚乱展(兵庫県立美術館ギャラリー)
2012-13 尼崎アートフェスティバル(尼崎市総合文化センター)
2018〜  Ge展(京都市美術館など)
他に個展、グループ展多数(1979-2024)

◽️作者の言葉
 私は絵画という表現形式を用いて、日常の中で視界の端をかすめていく「眼の記憶」の断片を掬い上げ、それを指でなぞるようにキャンバスの上で定着させたいと思う。これは「眼の記憶」を「手の記憶」に置き換えていくような作業だと言えるかもしれない。

 数十年も前のこと、私は発掘によって出土した埴輪や須恵器など古墳時代の遺物を復元するアルバイトをしていたことがある。断片を繋ぎ合わせ、足らざるところを石膏で補い彩色していく作業だ。1600年ほど前の誰かがその手の中で生み出した土の造形が、私の手の中に確かに存在していて、その「手の記憶」が伝わってくるような実感を覚えたものだ。それは、復元されてしまえば写真資料として記録されガラスケースに収められ、二度と触ることができなくなる。

 『芸術館』で縄文式土器を観る。ガラスやアクリル板の向こうにあるそれは、昔体験した「手の記憶」を思わせるが、やはり触ることはできない。数千年も、さらに一万数千年も昔の誰かが、その手の中から生み出した土の造形、そのような「手の記憶」を「眼の記憶」に置き換えて、私はそれを視ている。

 逆方向のベクトルを持つ「記憶に関する二つの作業」を交差させることで、そこを訪れる人の記憶を喚起し、「記憶と記憶の出会う場所としての絵画/記憶と記憶の出会う場所としての博物館」を実現したいと考えた。

◽️本展キュレーターの言葉
眼の記憶/手の記憶

淡い光の拡散
白い空気の静謐な漂い
絵の表面は寒暖差で生じるガラス面の微水滴に覆われた薄い膜のよう
その被膜越しに時おり覗く図象は遠い記憶の階層として現れる
——身体に、浸透するかのように

何が描かれているのだろう。鷹木朗の絵を前にするといつもこの問いが頭をもたげる。そして何を描きたいのだろうかと想像はあてどなくさまよい、やがてその思考も停止する。これまでの絵はそのような印象を抱くものであったが、ここ数年の作品は明瞭になりつつあるように思える。それは絵画としての鮮明さといってよいのかも知れない。川の源流を遡行して漸く出会う滝つぼや山の辺の道に立つ磨崖仏のようにも見える絵は、しかし私の想像に反して、作家の目に映った何の変哲もない町の風景であるらしい。彼は日常の風景をデジタルカメラで撮影し、PCの画面上で手を加えながら自身にとってのリアルな景色を感覚的に探り、記憶としての光景を傍らに、今度は絵筆でキャンバスの上に記憶のなかの風景を追う。その一連の行為は作家の言葉によれば「日常の中で視界の端をかすめていく<眼の記憶>の断片を掬い上げ、それを指でなぞるようにキャンバスの上で定着させる作業」であるという。その作業の繰り返しのなか、身体の内にある記憶のかけらを手がかりに、ある種の秩序をもって構築された絵画が今ここに在る。

岡本康明(元本学教員) 

◽️関連イベント
ギャラリートーク
期日:6月22日(土) 14:00-15:30
会場:京都芸術大学芸術館
登壇:鷹木朗(出品作家)、岡本康明(キュレーション)

 近代社会において博覧会は、啓蒙や知識の伝播、権力の誇示、産業の振興などさまざまな役割を果たしてきました。1851年にイギリスではじまった万国博覧会は、その後、世界各地の主要都市で開催されるようになり、日本も明治6年(1873)のウィーン万博からほぼすべての万国博覧会に参加しています。国内でも、明治4年に、日本で最初の博覧会が京都で開催され、明治10年には第1回内国勧業博覧会が東京・上野で開催されました。19世紀末から20世紀前半は「博覧会の時代」といってもよいほどに、各地でさまざまな博覧会が開催されています。
 博覧会の告知のためにポスターが使用されるのは19世紀末からと考えられますが、それ以前にも、博覧会を宣伝したり、会場の様子を伝えたりする印刷物や写真は数多くつくられています。また、博覧会に出品された作品・資料などのなかには、博覧会終了後に保存され、現存しているものもあります。
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館では、2024年度夏季展覧会として「大博覧会展-博覧会を楽しむ20のエピソード」を開催いたします。この展覧会では、日本有数の博覧会資料コレクションを所蔵されている尼崎市立歴史博物館のご協力のもと、日本で最初の京都博覧会から1940年の「幻し」の万国博覧会までのポスターや関連資料を展示するとともに、博覧会を楽しむための20のエピソードを紹介いたします。見て、読んで、博覧会をお楽しみください。
 なお、会期中に学内附属図書館でML(MUSEUM and LIBRARY)連携企画展を開催します。

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○共催:尼崎市教育委員会
○協力:尼崎市立歴史博物館、京都・大学ミュージアム連携

◎関連企画
○Museum&Library連携シンポジウム「博覧会の楽しみ方」
日時:2024年7月20日(土)13:30~16:20
会場:京都工芸繊維大学60周年記念館 1階記念ホール
入場料:無料(申込不要) ※シンポジウム終了後に展覧会をご覧いただけます。

プログラム
13:00-13:30 開場
13:30-13:40 開会挨拶 並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館・館長)
13:40-14:10 発表① 佐野真由子(京都大学・教授)
14:10-14:40 発表② 橋爪節也(大阪大学・名誉教授)
14:40-15:10 発表③ 並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館・館長)
15:10-15:20 休憩
15:20-16:20 ディスカッション「博覧会の楽しみ方」

歴史や国語の教科書の叙述は、古典文学や経典、古文書、絵画、工芸品など数多くの資料を素材にしています。これらの教科書の素材がなければ、過去にあった出来事を知ることもできませんし、古典文学作品の中身に触れることもできません。それほど、素材となる資料は教科書にとって大切なものなのです。

大谷大学博物館にも、教科書の素材となっている古代中国の古い印章があります。漢の皇帝から北方異民族の王にさずけられたもので、漢代の社会と文化にかかわる箇所で紹介されています。そのような実物があることによって私たちは教科書に書かれた内容をより楽しく、わかりやすく理解することができるのではないでしょうか。

本展覧会では、そうした教科書の素材となる作品をご紹介します。教科書の本文だけでは決して伝わらない教科書の素材の魅力に触れてていただければ幸いです。

芸術学部の日本画、陶芸、テキスタイル、版画専攻に所属する学生有志のグループ展を開催する。メンバーは芸術学部1年次の「体幹教育」を通じて知り合った。本展は体幹教育以降の成長と変化を振り返ることを目的とし、過去作と近作は一方向的に展開するだけでなく、各作家との比較を通して、会場全体が一つの円環=循環の様相を呈することを願って、タイトルを「○」とした。

今年2024年は、画家・白髪一雄の生誕百年にあたります。それを記念して、「生誕100年 白髪一雄展」を開催いたします。
 1924年、兵庫県尼崎市で生まれた白髪一雄は幼少の頃より絵に興味を持ち、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に進学し日本画を学びます。卒業後には洋画に転向して、田中敦子、金山明、村上三郎らと「0会」を結成します。その数年後の1955年には、吉原治良をリーダーとする「具体美術協会」に参加し、以降「具体」の代表的な作家として世界的に活躍するようになりました。
 白髪の制作の代名詞となっているのが「フット・ペインティング」と呼ばれるもので、カンヴァスの上を足で滑るように絵具を伸ばして描きました。白髪はこの独特な作画方法によって戦後の前衛美術界で国際的に高い評価を得ていきます。
 1972年の「具体」解散後、白髪は比叡山にて得度し仏門に入ります。以降の白髪の作品には天台密教の世界観が現れるようになりました。
 本展覧会では、1970年代の作品を中心に約30点の白髪の絵画を並べ、彼が「フット・ペインティング」から仏教的世界へと至る道筋を紹介します。
 なお、本展覧会は大橋嘉一氏の寄贈コレクションから構成されています。大橋氏は、本学の前身の京都高等工芸学校色染科を卒業し、昭和初期に大橋焼付漆工業所(現・大橋化学工業株式会社、大阪府)を創立、化学者であり実業家として関西の財界で活躍した人物であり、1950 年代後半から 1970 年代にかけて日本の前衛美術の作品を収集し、若き白髪の支援者でもありました。

○会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館 1階展示室

ふれる、「意」。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五つの感覚、「五感」。
これらをあらわす作品で「第六感」を感じてみませんか。

紙や印刷の加工で表現を追究する2024年プロジェクト授業
「ビジュアルプロダクト」に所属する京都精華大学ビジュアルデザイン学科・
学生11名の作品です。

このプロジェクトでは「五感」をテーマに
各々が視覚化に試みました。
「五感」は人間の持つ5つの本能的感覚を指しますが、
この展示会では来場者が鑑賞して気づきを得る体験を
6つめの感覚「意」として捉え、
『6/5』というタイトルで展開しています。

すべての展示作品は
最も身近な情報メディア「紙」を使用。
昨今、メディアはデジタル化が進み、
市場縮小の苦境に立たされていますが、
学生があらためて紙の潜在力を見出し、
可能性を追究した研究結果を
楽しんで鑑賞いただければ幸いです。

 

出展学生:
安座間桜、安藤愛惟、ガン・ジョンウ、コウ・シ、ゴ・クンゲン、ショウ・ショウ、タイ・ムエイ、谷口琴音、平野心優、ペク・スンウン、水本美唯

担当教員:増永明子、峠田充謙、王怡琴
撮影協力:四辻蓮

大地の有難みを新たな眼差しでみつめ、生きる軸となる三才〈天〉〈地〉〈人〉、森羅万象のカタチを粘土や紙、映像などを用いて表現する。形はまばらで、浮遊感のある自然な風合いの作品を通じて、悠久なる大地の記憶を浮かび上がらせる。

主催:吉岡幸真希×趙婧鈺

ハリス理化学館同志社ギャラリーの「京都の中の同志社」展示室(歴史資料館分館)で二条家寄贈のお雛様1対を展示しています。
久邇宮家から二条公爵家へ嫁がれた恭仁子女王所用で、大正時代の丸平製です。4月上旬までご覧頂けます。

https://hmuseum.doshisha.ac.jp/

デザイン・建築学課程建築コースの歴史グループでは、3回生の演習科目・建築設計実習IVで取り組むアーカイブズ課題において、美術工芸資料館が所蔵する建築設計図面の読解と模型製作を通して近現代の建築について学んでいます。2023年度は、村野藤吾資料に含まれる比叡山回転展望閣(竣工:1959年、設計:村野・森建築設計事務所、施工:竹中工務店)に取り組みました。課題の成果を基に、新たに作成した模型とオリジナルの設計図面で比叡山回転展望閣の魅力をご紹介します。

○会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館 1階第2展示室

「建築アーカイブズをひらく」は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館が収蔵する知られざる建築資料や収蔵に向けて整理作業中の建築資料、あるいはその整理や研究の過程で得られた発見を紹介する小さな展覧会のシリーズです。収蔵庫の内外で人目につかずにいるさまざまな記録に光を当て、都市や建築に関わるさまざまな活動を読み解くことで、これからの都市や建築を考えるための新たな視点を提供するとともに、建築アーカイブズの可能性を発信します。

「建築アーカイブズをひらく」シリーズの最初は、坂尻一郎(1899-1975)が1921年に京都で立ち上げた愛仁建築事務所の資料群を取り上げます。
愛仁建築事務所は、自動車販売業を営む日光社の七条営業所(現・富士ラビット、1923年頃竣工、登録有形文化財)の設計者として知られています。2021年に京都市京セラ美術館で開催された「モダン建築の京都」展では、京都駅近くに現存するその建物の設計図面が展示され、大きな話題を呼びました。それは、建物同様の美しく力強い図面表現のためだけではなく、知る人ぞ知る存在であった愛仁建築事務所の仕事が具体的な記録としてはじめて明かされたからでもありました。同展の終了後、ご縁があって、愛仁建築事務所の資料群が京都工芸繊維大学美術工芸資料館に寄贈されることになりました。同館は現在、教員や学生とともに、収蔵・登録に向けて資料群の整理を進めています。この展覧会では、2023年度の作業から見えてきた愛仁建築事務所の活動と資料群の特徴を、日光社関連資料を中心にご紹介します。
遺された図面や文書には、事務所、店舗、旅館、学校、工場、邸宅、長屋、料亭、茶室といった建物だけでなく、ポスター、看板、茶器、石碑、乗合自動車の内装、橋にいたるまで、さまざまなデザインの記録が含まれています。その施主は、自動車、新聞、映画といった近代の大衆文化を象徴する事業の関係者が目立ち、公私にわたって複数の仕事を依頼した例も少なくありません。施主の要望に応えてさまざまに取り組まれ同所の仕事は、メディアを賑わす先端的な建築表現の建物とも、伝統的な建築物とも異なる表現で、京都に暮らすひとびとの日常を彩りました。その実態を記録した資料群は、近代京都のまちを理解する重要な手掛かりとなるはずです。

○会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館 1階ホール

 本展は、ポスター発展の中心となったフランスで制作された黄金時代の初期リトグラフポスターから、リトグラフを専門としたムルロ工房のポスター、ポスターにユーモアを取り入れたサヴィニャックたちのポスターを紹介します。  1798年、ドイツのゼネフェルダーが発明した印刷技法であるリトグラフのおかげで、ポスターは急速に発展を遂げました。石版職人であったシェレは、自身が石版に絵を描くことで、ポスターのあり方を模索し、近代ポスターの基礎を作り上げました。その後、ロートレックやミュシャなどの作家もカラーリトグラフのポスターに取り組みました。
 1921年にフェルナン・ムルロが父の印刷所を引き継いだリトグラフの印刷を専門とする「ムルロ工房」では、当時を代表する画家たちと熟練の職人との協同作業により、芸術的なリトグラフ作品が多く生まれました。本展では、ムルロ工房で制作されたシャガール、ピカソ、ダリ、ビュッフェをはじめとする画家たちのリトグラフポスターを約25点展示します。複製品であるリトグラフのポスターだからこそ生み出せる表現をお楽しみください。
 20世紀を代表するデザイナー・カッサンドルの助手としてポスターを学んだレイモン・サヴィニャックは、シンプルな造形と鮮やかな色彩を特徴とし、ポスターの中にユーモアを持ち込みました。同じくカッサンドルに師事したアンドレ・フランソワや、サヴィニャックの友人であるベルナール・ヴィユモのポスターも合わせて展示します。

京都で起こり、日本を代表する伝統文化となったいけばなの歴史について、池坊短期大学所蔵の資料を通じて紹介します。いけばなの祖といわれる池坊を母体とする池坊短期大学では、いけばな関係の資料を広く収集して、貴重な資料群を形成しています。
室町時代には池坊が花を立てたことが確認され、江戸時代には華道書や作品集の出版、家元制度の確立などを経て、池坊は全国に門弟を増やし、いけばなは広く受け入れられていきました。このようないけばなの歴史について、花伝書や作品図、花器、浮世絵などを通じて、ふれていただく機会となりましたら幸いです。

ハリス理化学館同志社ギャラリーの「京都の中の同志社」展示室(歴史資料館分館)で二条家寄贈のお雛様1対を展示しています。
久邇宮家から二条公爵家へ嫁がれた恭仁子女王所用で、大正時代の丸平製です。4月上旬までご覧頂けます

https://hmuseum.doshisha.ac.jp/

京都精華大学芸術学部洋画コースで37年間教鞭をとった生駒泰充の退任を節目に、これまでの画業を振り返る個展を開催します。本展では、油彩や卵テンペラ、アクリル絵具で描かれた100号から200号の大作を中心に紹介します。生駒は「生命の循環」を主要なテーマに、人物や風景、動植物を寓話的に描いた絵画を制作、45年間にわたり美術団体二紀会にて発表を続けてきました。国内外のギャラリー等でも個展やグループ展を多数開催、精力的に活動を行っています。
中学生の時に観たレンブラント展に衝撃を受けて画家を志した生駒は、武蔵野美術大学の油絵コースに入学後、主に写実的な絵画を制作し、西洋の古典絵画技法を研究しました。大学院修了後にスペインの現代画家 Antonio Lopez Garcia、Eduardo Naranjo、Jose Hernandezらの存在を知り、彼らを生んだスペインという土壌を深く知りたいと考え、1985年にスペインに渡りました。復活祭の時期に旅行で訪れたGranadaの墓地に心惹かれ、その地に移住。ある日、墓地裏の崖に放置された人骨を写生した際、重なりあった骨の隙間から可憐な花が咲いているのを発見し感銘を受けました。その出来事が示唆したのは「生命あるものが死に、朽ちて土に還る。そして、その土は養分となって新しい生命を育み、それは繰り返されていく。世界は多様な生命から構成され、生命あるものもまた世界の諸要素から構成される。」という一つの真実でした。仏教の輪廻転生における「個」としての死はないという教えと重なる部分があります。実感を伴った「生命の循環」の気付きは、極めて重要な出来事であり、その後の創作活動の主要なテーマとなりました。本展が、長年にわたって大きな画面に生駒が描き続けてきた「The Never Ending Story(終わりなき物語)」に触れ、世界を巡る見えないエネルギーを想像する機会となれば幸いです。

主催:生駒泰充

2023年度 博物館学芸員課程修了展

「私の宝物」

 

国際文化資料館では、2023年度博物館学芸員課程修了展(その2)として「私の宝物」展を開催します。本展覧会は自分の人生の中の宝物がテーマです。私たちは学業や日常の忙しさの中で大切な宝物を見落としてしまうことがあります。しかし、それらの宝物には私たち自身の成長や思い出が詰まっています。この展示会は、普段忙しく過ごしている学生たちに、自身の宝物を再評価することを通じて共感や交流を深める機会を提供します。

具体的にはみなさまから募集した宝物を、Fabric of Memoryという展示方法を使ってエピソード(家族、友達、思い出、懐かしいものなど)に分けて紹介します。また、持ち運びの大変なものは写真で展示します。

個人の個性を尊重して、ひとりひとりがテーマに囚われず自分が一番好きな作品を収集し、ひとりひとりの豊かな人生や思い出を讃える企画展です。この展覧会を通じて、参加者同士が交流し、感動や喜びを共有し、大切な宝物に込められたストーリーや価値を広く発信することを目指しています。

 

会 期:3月14日(木)~27日(水)
時 間:10:00~16:00
休館日:土曜日・日曜日・祝日
会 場:京都外国語大学 国際文化資料館4階
主 催:京都外国語大学国際文化資料館、博物館学芸員課程
協 力:国際言語平和研究所

監 修:南  博史(博物館実習担当教員)

 2024年のNHK大河ドラマが紫式部を主人公とした「光る君へ」だということで、巷では『源氏物語』ブームが起こっています。『源氏物語』は日本を代表する古典文学であり、平安時代の貴族たちの生活を現在に伝えてくれる貴重な資料でもあります。そして、この『源氏物語』は執筆されてからあまり時を経ずに絵画化されたことでも知られています。現存する最古の源氏絵(『源氏物語』を絵画化したもの)は、現在国宝に指定されている《源氏物語絵巻》(徳川美術館・五島美術館ほか)で、12世紀の前半の制作と考えられています。
 この《源氏物語絵巻》は、『源氏物語』の世界をヴィジュアルに伝えてくれる平安時代の作例として多くの画家に参照され、美術史、風俗史、文様史などさまざまなジャンルの研究者によって研究対象とされてきました。そのために、模写や複製も多くつくられましたが、とくに明治時代後期以降は、コロタイプ印刷の技術が進み、精巧な複製が世に出るようになりました。京都工芸繊維大学の前身校である京都高等工芸学校でも、教材として《源氏物語絵巻》の模写や複製が購入されています。
 今回の展覧会では、模写や複製資料を用いて『源氏物語』の世界を追体験するとともに、『源氏物語』をモティーフにした香道具や貝合せなども展示して、人びとのあいだでひろく『源氏物語』が愛好された様子をご覧にいれたいと考えています。
        
○会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館 1階第1展示室
○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○協力:京都・大学ミュージアム連携

「第9回京都美術工芸大学卒業制作展」に出展された多くの卒業制作のなかから優秀作品をピックアップし、鴨川七条ギャラリーに展示します。

会場:京都美術工芸大学東山キャンパス鴨川七条ギャラリー

本展は京都精華大学芸術学部教員として27年間、芸術教育に携わってきた池垣タダヒコの退任を記念し、美術家としての40年以上の業績を振り返る展覧会です。会場は池垣の全ての作品の源泉であるドローイング、キャリア初期に取り組んだ銅版画と石膏刷りによるレリーフ、作家として注目を浴びることとなった銅板による立体作品、そして近年の作品、インタビュー動画で構成し、関連イベントとしてアーティストトークも開催します。

主催:池垣タダヒコ退任展 実行委員会

縄文時代、比叡山から東山一帯にかけての山麓には照葉樹の森が広がっており、この森や湖あるいは河川の恵みを利用して、縄文人が長期にわって生活を営んできました。東側の山麓では、滋賀里遺跡や穴太遺跡、西側の山麓では、北白川追分町遺跡や北白川小倉町遺跡、一乗寺向畑町遺跡など多くの縄文遺跡が見つかっています。これらはいずれも近畿地方を代表する縄文時代の遺跡で、当地方の縄文文化の解明に重要な役割を果たしてきました。

1948年に調査され、近畿地方の晩期土器編年の骨格となった滋賀里遺跡資料(文学研究科考古学研究室蔵)については、その多くが未公開のままでしたが、『滋賀里遺跡資料図譜』(2023年5月)が刊行され、全容が明らかになりました。今回の展示では、多くが未公開であった滋賀里遺跡資料を一般公開し、あわせて比叡山麓の東西に展開した縄文遺跡の資料を展観に供します。当地に花開いた縄文文化にたいする知見を深めていただき、縄文の世界に思いを馳せる機会となることを願っています。

京都市中京区の「京都伝統工芸館」にて、「京都伝統工芸大学校 卒業・修了制作展」を開催します。

また同時開催としまして、「京都伝統工芸大学校 仏像彫刻専攻講師一同作品展」

「ヴァンクリーフ&アーペル デザイン スカラーシップ2023受賞者作品展示」を実施いたします。

会場:京都伝統工芸館

日本各地に伝承されてきた民俗芸能や伝統行事は、過疎・少子高齢化、環境やライフスタイルの変化による信仰心の薄れや考え方の多様化などにより、従来通りの継承がより困難になっています。いっぽう、地域への原点回帰やコミュニティをつないできた地域文化の再評価、活用などの可能性が論じられ、対応が各地で模索されています。本展では、東北と京都の「念仏芸能」資料を展示し、民俗芸能や地域文化を継承・発信するための取り組みを紹介します。

 やまと絵の屏風で中世にさかのぼる作例は少なく、制作年代や絵師が明らかなものはほとんど遺されていません。その技法や主題の特徴を明らかにするため、愛知県立芸術大学の日本画古典実技の専門家を中心に、日本史や美術史の研究者と共同で復元プロジェクトを進めています。
 復元作業の大きなヒントになるのが、近世に写された模本と中世絵巻の中に描かれた画中画の屏風絵です。2015年からは、「月次祭礼図屏風模本」(東京国立博物館蔵)の復元に取り組みました。江戸時代に写された模本からは、失われた中世の原本の図様を読み取ることができ、応仁の乱以前の京都の風俗を描いた唯一の大画面として貴重です。ただし、模本の彩色は不完全で、もとの絵画の全容は明確ではありませんでした。今回、模本の描写を精密に模写するとともに、日本史・美術史の両面から祭礼・風俗描写の特質や当時のやまと絵様式の分析を進め、これらを統合して室町時代盛期における京都の繁栄を屏風に復元しました。
 2018年から開始したのは、室町時代の「石山寺縁起絵巻」(石山寺蔵)第五巻の中に描かれた、雲母地の画中画「浜松図屏風」の復元です。中世のやまと絵屏風には、金銀箔の小片を撒きつぶした「みがきつけ」や、下地に雲母を厚く塗布する「雲母地」など、特徴的な技法が用いられました。これらは、近世以降の屏風ではほとんど使用されていない幻の技法です。この画中画は、雲母地屏風の実態を伝えるものとして重要であるだけでなく、中世に最も流布した白砂青松の浜辺を描く「浜松図」としても注目されます。小さな画中画を、原寸大の屏風の大画面に復元することで、室町時代の技法と画題の双方を再検証しています。
 本展覧会では復元された「月次祭礼図屏風」「浜松図屏風」を中心に、その過程で制作された下図類、「みがきつけ」や「雲母地」技法の試作品、画材や道具などを展示します。

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○共催:愛知県立芸術大学
○企画:愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所
○協力:京都・大学ミュージアム連携
〇助成:JSPS科研費JP22H00628「中世やまと絵屏風の技法復元を中心とする総合的研究」(阪野智啓)・JP22K00212「中世大画面祭礼図の構図法の研究-月次祭礼図屏風模本の失われた左隻の推定を中心に-」(岩永てるみ)

◎関連企画1
○シンポジウム「中世やまと絵屏風を技法と主題から読み解く」
日時:2024年1月6日(土)13:00~17:00(開場12:30)
会場:京都工芸繊維大学60周年記念館1階記念ホール
定員:120名(※当日受付)

スケジュール
13:00~13:10
開会挨拶:並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館・館長)

13:10~14:40
第一部:「月次祭礼図模本」の復元
・模本から読み取る技法と表現
 阪野智啓(愛知県立芸術大学・准教授)
 岩永てるみ(愛知県立芸術大学・准教授)
 安井彩子(愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所・研究員)
・「月次祭礼図屏風」に描かれた幕府と政治的な事物
 小島道裕(愛知県立芸術大学・非常勤講師)
・歴史史料から考える描かれた祭礼
 河内将芳(奈良大学・教授)

14:55~15:50
第二部:「石山寺縁起絵巻」画中屏風の復元
・絵巻に描かれた雲母地屏風と裂地の再現
 阪野智啓(愛知県立芸術大学・准教授)
 中神敬子(愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所・研究員)
・絵巻の画中画からひろがる中世屏風の世界
 髙岸輝(東京大学・教授)

16:00~17:00
座談会
司会進行:井戸美里(京都工芸繊維大学・准教授)
並木誠士・小島道裕・河内将芳・髙岸輝・阪野智啓

 京都を拠点に写真家として活動した畠山崇(1944-2022)の仕事を振り返る展覧会「畠山崇の写真1-文字の旅-」を開催します。畠山さんは半世紀以上にわたり、京都を中心とした美術工芸の世界の写真を撮り続けてきました。写真の良し悪しによって美術品の印象は大きく左右されます。私たちが抱く美術品のイメージは写真の影響も大きいと言えるでしょう。畠山さんは作品写真の撮影者として多くの作家や美術関係者から仕事を託されてきました。なかでも陶芸やファイバーアートの作品写真は数多く、現代関西工芸界の貴重な記録ともなっています。
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館は、このたび畠山崇さんご自身が所持しておられた写真(ポジフィルム、スライド、デジタルデータ等)と関連資料の遺贈を受けました。館ではこれから「畠山崇写真アーカイブ」として写真の調査研究ならびに適切な運用のための管理を行なっていきます。
「畠山崇写真アーカイブ」のお披露目第一弾となる本展では、畠山さんが訪れたアメリカ、韓国、中国、南米諸国、メキシコで撮影した写真を紹介します。作品写真や展示記録写真だけでなく、雑誌や広報物などのヴィジュアルイメージの制作にも写真家として多く関わってきました。これらの旅のきっかけは、モリサワが発行するカレンダーのヴィジュアルイメージ撮影でした。文字を扱う企業であるモリサワのために、世界各地の特徴的な文字を撮影することを目的としたものです。カレンダーに使用されたカットはそれぞれ十数点に過ぎませんが、それ以外にも写真家畠山崇の眼を感じさせる数多くのカットが残されています。今回はカレンダーに掲載されなかったカットも合わせてご覧いただくことで、旅先での畠山さんの眼差しに触れてみたいと思います。
 なお、展示写真は35mmスライドフィルムのデジタルスキャンによるもので、カレンダー掲載写真とはトリミングや色味が異なることがあります。

2023年度 博物館学芸員資格課程修了展

「京の食文化と伝統工芸」

 

博物館学芸員資格課程修了展(その1)として、「京の食文化と伝統工芸」展を開催します。私たちの日常生活に欠かせない「食」と、それらをしつらえる「伝統工芸品」が本展覧会のテーマです。京都に古くから伝わるさまざまな料理や伝統工芸品を通して、京都の文化をより身近に感じていただけるよう企画しました。

みなさんは京都の食文化や伝統工芸についてどのくらいご存知でしょうか。京都には長い歴史の中で育まれ四季を表現した京料理など、京都ならではの食文化が形作られてきました。また、長い間日本の都であった京都には日本全国から優れた技術がもたらされ、それらの技術を合わせた京都ならではの工芸品が作られました。

本展では、これらの京都の食文化や伝統工芸品を季節の流れに沿って実物・画像・パネルを用いて紹介します。なお、今年度の修了展は博物館学芸員資格課程履修生が、それぞれ複数のテーマに取り組んでいます。会場も資料館だけではなく4号館や9号館、図書館でも開催する予定です。

 

会  期:2024年1月22日(月)~3月8日(金)

時  間:10:00~16:00

休  館  日:土曜日・日曜日・祝休日・本学が定める入構不可日

場  所:国際文化資料館(第二分館4階)

主  催:国際文化資料館、博物館学芸員資格課程

協  力:みす武、京都漆器工芸協同組合、文友会、国際言語平和研究所

監  修:南 博史(博物館実習担当教員)

 

元本学教授で京都国立博物館長をつとめた神田喜一郎氏旧蔵の神田コレクションの
金石拓本のなかから、数多い京都の寺院に所蔵される梵鐘のうち著名な梵鐘を取り上げます。
朝鮮鐘の面影をもつ現存最古の戊戌年(698)銘の妙心寺の梵鐘(国宝)、華麗な文様で名高い平等院の梵鐘(国宝)、銘文により「三絶の鐘」と称される神護寺の梵鐘(国宝)、豊臣家の滅亡を導いた「国家安康」の銘文で知られる方広寺の梵鐘(重要文化財)など、白鳳時代から江戸時代までの著名な梵鐘の拓本を展示します。

京都美術工芸大学芸術学部の学生が2023年度前期課題で制作された優秀作品を展示します。
会場:京都美術工芸大学東山キャンパス鴨川七条ギャラリー

明治から昭和初期に京都を中心に制作された輸出用の扇「貿易扇」。西洋のモチーフを取り入れた独特なデザインが特徴です。
本学では所蔵する約1,500点の貿易扇と扇面原画の中から、選りすぐりの貴重な作品を展示します。ぜひこの機会にご観覧ください。

ディアナとアクタイオン

コロンブス

村田泰隆氏によって蒐集された蝶類を中心とした昆虫の標本コレクションが、2019年に京都大学総合博物館に寄贈されました。長年にわたり国内や世界各地から蒐集された1万7千点を超えるコレクションの中には、現存する標本が非常に少ない種や地域集団のものも含まれています。当館では、蝶の美しさや学術的な魅力をより多くの人々に知ってもらうため、2022年度から「蝶に会える日—村田泰隆コレクション展—」というシリーズ企画を開始しました。

今回、シリーズ第2回目として、東南アジアとその周辺地域の蝶の多様性に光を当てた展示を行います。カラスアゲハ亜属やカザリシロチョウ属の系統地理的な多様性、警告色や擬態の不思議、いくつかの希少種について紹介します。

小規模な展示となりますが、蝶の美しさやその背後に隠された進化生物学的な意味、さらに種の保全の重要性について考える機会としてご覧いただければ幸いです。

私たちヒトには生えていないのに、なぜかなじみ深い不思議な器官・しっぽ。
そんなしっぽを研究している研究者が、しっぽのヒミツをご紹介します。
しっぽが出てくることわざや、へんなしっぽをもつ妖怪に注目して、「たかがしっぽ」を「されどしっぽ」に変えてみせます。

 明治35年(1902)、京都の伝統産業の近代化と新しいデザインをうみだす人材の育成を目的として京都高等工芸学校が開校しました。初期の教員たちは、化学者の中澤岩太(1858-1943)や洋画家の浅井忠(1856-1907)など、海外留学も経験した専門家集団でした。一方で、画力の向上や図案研究のため、教育のかたわらさまざまな芸術ジャンルに挑戦し、ときに玄人並みの技術を習得しています。
 少年期に南画家・黒沼槐山にまなんだ浅井忠は、京都に来てから盛んに日本画に取り組みました。同僚であった日本画家、菊池素空(1873-1923)に指導を受けたとも言われています。また、校長の中澤岩太は、東京大学出身で製造化学を専門とする化学者でしたが、手習いとして、東京美術学校でも教鞭をとった狩野友信(1843-1912)にまなび、京都に来てからは望月派の女流画家、前田玉英にまなんでいます。油彩画においても浅井に指導を乞い、《グレーの秋》(1901・個人蔵)を模写するなど、精力的に制作に取り組みました。そのほか書道や篆刻、蓑虫工芸にも才能を発揮しています。
 さらに京都高等工芸学校第1期卒業生で、のちに同校図案科の教員となった間部時雄(1885-1968)や霜鳥之彦(1884-1982)も洋画の道を究める一方、鳥獣人物戯画やミュシャのデザインを模写し、表現の幅を広げました。
 余技というには惜しい教員たちの研究の一端を是非ご鑑賞ください。

 京都工芸繊維大学美術工芸資料館の収蔵品は、京都高等工芸学校時代の教育資料に始まり、国内外の美術・デザイン・染織・建築資料の継続的な収集により独自のコレクションを形成するまでになりました。その中で重要な核のひとつを担っているのが、卒業生や教員、篤志の方々が個人で収集され寄贈を受けた作品・資料たちです。本展覧会では、そのような個人コレクションを元にした収蔵品を取り上げ、コレクターの眼識に迫りたいと思います。
 ラジオ少年だった詩人の谷川俊太郎はアメリカを中心として数多くのラジオを集めました。京都高等学校卒業で大橋化学工業の創業者大橋嘉一は日本の戦後美術を支えたコレクターの一人として知られています。京都工芸繊維大学教授を務めた黒崎彰は版画家としての眼を通してポーランドを中心とした国内外のポスターを収集しました。
 それぞれにコレクターが注いだ眼差しと愛情を感じ取っていただける機会となりましたら幸いです。

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○協力:京都・大学ミュージアム連携

第15回美術工芸甲子園を、本校の付属施設「京都伝統工芸館」にて開催いたします。

本大会は高校生のものづくり教育の振興及び日本が世界に誇るものづくりの技を、次代へ継承する才能を発掘することを目的とし、高校生たちの創造性あふれる工芸作品を広く募集しています。

 

会期:2023年11月17日(金) 〜12月28日(木)

開場時間:11:00-18:00

会場:京都精華大学ギャラリーTerra-S

休場日:日曜日

入場無料

出品作家:塩田千春、金沢寿美、ソー・ソウエン

主催:京都精華大学

 https://gallery.kyoto-seika.ac.jp/exhibition/231117/

   

京都精華大学は開学55周年記念展として、塩田千春、金沢寿美、ソ―・ソウエンによる展覧会「FATHOM—塩田千春、金沢寿美、ソー・ソウエン」を開催します。

三名の作家たちは世代は異なりますが、それぞれ本学の芸術学部や芸術研究科で洋画を専攻しました。現在は、ともに「絵画」の範疇を飛び出し、空間全体を作品とするインスタレーションや、場所の歴史や記憶をテーマにした作品、「自己とは何か」を自身の身体を投じて探るパフォーマンスなど、多岐にわたる表現領域で活動を展開しています。また、大学卒業後、ドイツに渡った塩田、在日韓国人三世として育った金沢、2020年にアーティストネームを改名したソーは、共通してアイデンティティについての問いを表現の核に据えて制作しています。

展覧会タイトルにある「Fathom(ファゾム)」は、人が両手を左右に広げた時の幅に由来する「身体尺」のひとつで、水深を図るのに用いる単位(6フィート=183cm)を意味します。さらにそこから派生して、「理解する」「探究する」という意味にも使われます。自らの身体行為をとおして何かを探り、浮かび上がらせようとする三名の態度・手法を象徴的に表します。

さまざまな共通項を持つ彼・彼女らによる濃密なインスタレーションから繊細な平面作品までをとおして、それぞれが向き合ってきた問いや主題の「現在地」を体感していただけたらと思います。

 

塩田 千春  Shiota Chiharu

1972年大阪府生まれ。1996年京都精華大学美術学部(現芸術学部)卒業。ベルリン在住。

大学卒業後、渡独。ブラウンシュヴァイク美術大学、ハンブルク造形美術大学、ベルリン芸術大学で学ぶ。過去に誰かが使っていたベッドや衣服、窓枠などを用いた大規模なインスタレーションで知られる。生と死という人間の根源的な問題に向き合い、場所やものに宿る記憶といった「不在の中の存在」を浮かび上がらせてきた。2001年、第1回横浜トリエンナーレに出品し、国内外で大きな注目を集める。以降、世界各国の美術館での展覧会や国際展に数多く参加。2015年には、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館代表として選出。2019年に森美術館で開催された個展「魂がふるえる」は66万人以上の入場者を集め、その後、韓国、台湾、オーストラリアへ巡回した。

近年の主な国内での個展に、「いのちのかたち」(2022、那覇文化芸術劇場なはーと/沖縄)、「塩田千春展:魂がふるえる」(2019、森美術館/東京)、「『胡蝶の夢』Art for Tomorrow 2018 – 京都府新鋭選抜展」(2018、京都文化博物館/京都)など。

 

金沢 寿美  Kanazawa Sumi

1979年兵庫県生まれ。2005年京都精華大学大学院芸術研究科修士課程修了。東京都在住。

これまで日本と韓国の企画展やレジデンスプログラムで作品を多数発表。2013・2014年には北朝鮮に最も近い島で知られるペンニョン島に滞在し、実際の鉄条網を使ったプロジェクト作品を発表する。作品は「個と集団」をテーマに、その両者を行き来するようにして生まれる“間にある世界”を壮大なインスタレーションによって表現している。近年は新聞紙の一部を残して鉛筆で塗りつぶしたものをつなぎ合わせたインスタレーションに取り組む。

近年の主な展覧会に、「Erase and See」(2023、大和日英基金 大和ジャパンハウス/イギリス)、「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(2022、森美術館/東京)、「新聞紙のドローイング」(2021、公益財団法人現代芸術振興財団/東京)、「Beyond The Sun」(2019、仁川アートプラットフォーム/韓国)、「消して、みる。」(2018、游工房アートスペース/東京)など。

 

ソー・ソウエン  Soh Souen 

1995年福岡県生まれ。2019年京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。福岡県在住。

大学在学中から一貫して、自己を成り立たせる「身体」や「他者」、「記憶」への関心を軸に、絵画制作を探究している。2020年に桑園創よりソー・ソウエン(Soh Souen)に名義を変更した。近年の主な展覧会に、「Your Body is the Shoreline」(2023、√K Contemporary/東京)、「ソ―・ソウエン『絶えず壊れてきたし、壊れ続けている(壊れてはいない)』」(2023、rin art association/群馬) 「第17回福岡アジア美術館アーティストイン・レジデンスの成果展 2022 境界を縁どるー石、呼吸、埋立地」(2022、福岡アジア美術館 7階 アートカフェ/ロビー他/福岡)、「Let it sway, like a ripple of agitation. さざなみのように、ゆらいでみる。」(2022、HIRO OKAMOTO東京)、「Artists’ Fair Kyoto」(2022、京都新聞社ビル/京都)、「ささやかな叫び A Modest Scream」(2020、The MASS/東京)など。

 

関連イベント ※申込方法などの詳細はギャラリーのWEBサイトをご確認ください。

・ソ―・ソウエン パフォーマンス「Eggsercise」 ※申込不要

日時:2023年11月17日(金)11:00-15:00

会場:明窓館2Fエントランスほか

 

・オープニングトーク ※申込不要

日時:2023年11月17日(金)17:00-18:00

会場:明窓館3FギャラリーTerra-Sほか

※アーティストトーク終了後、レセプション開催(予定)

 

・アセンブリーアワー講演会:塩田千春「1000の夢を描く」 ※要事前申込

日時:2023年11月18日(土)14:00-15:30

会場:明窓館2F大ホール

 

・キュレーターによるギャラリートーク ※申込不要

日時:2023年12月9日(土)14:00-15:00、12月23日(土)14:00-15:00

会場:明窓館3FギャラリーTerra-S

 

※諸般の事情により会期・時間・内容等が変更になる場合があります。最新情報はギャラリーのWEBサイトでご確認ください。

 

 

問合せ:

京都精華大学ギャラリーTerra-S

〒606-8588京都市左京区岩倉木野町137明窓館3F

TEL 075-702-5263

E-mail gallery@kyoto-seika.ac.jp

https://gallery.kyoto-seika.ac.jp/

 

<塩田千春《夢について(仮)》制作のための手紙を募集します>

本展出品作家の塩田千春は、1000通以上の手紙を用いた新作インスタレーションを制作します。

この作品の一部となる「手紙」を募集しています。夜中に見た夢、もしくは将来の夢など、「夢」をテーマとした手紙をギャラリーまでお送りください。

詳細URL: https://gallery.kyoto-seika.ac.jp/information/1605/

大谷大学博物館は、大谷大学前身、東本願寺の学寮の 1665(寛文5)年創立以来、多く収蔵されてきた資料を広く社会に展示・公開するために設立され、2003年10月に京都府教育委員会指定の博物館相当施設として開館しました。

本館の収蔵品は、仏教・真宗学をはじめ、哲学・歴史・文学などの多分野にわたっており、典籍を中心に国の重要文化財10件を含む約12,000件を収蔵しています。これらは先学の寄贈にかかるものが多く、大学の長い歴史の中で守られてきたものであり、いわば本学の学問のあり方を伝える貴重な資料群ともいえます。

本展では、開館20周年を迎えるにあたり、代表的な館蔵品である国指定の重要文化財10件と、それと深い関わりをもつ作品を他機関からお借りをし、本学の学問および博物館の役割をあらためて振り返ると共に、未来への展望を願って開催するものです。本展によって、本学の学問がこれまで以上に広くご理解いただければ幸いに存じます。また2023年は、宗祖親鸞聖人誕生850年・立教開宗800年にもあたることから宗祖に関わる作品と、京都大蔵会が本学で開催されることから中国・朝鮮半島・日本の大蔵経もあわせて展観します。

浄土宗の歴史は、多くの苦難を乗り越え、また盛衰を経て今日まで続いてきた。開宗850年を迎えようとするいまなお、苦境というべき一面がある。「寺院解散」である。これはひとり浄土宗のみの問題ではなく、社会情勢を含む仏教界全体の事情といえるかもしれない。法的には「宗教法人の解散」として進められる、寺院の消滅。それにともなう、御本尊をはじめとする尊像・什宝の管理問題。いま浄土宗には解散寺院から移管された仏像が保管されている。なかには、罹災された他の寺院へ移安される事例もあるという。
2024年(令和6年)、浄土宗は開宗850年を迎える。この記念すべき年に向け、いま関係各所で慶讃事業の取り組みが進められている。本展では、浄土宗に移管された仏像群、他寺院へ譲渡された仏像を展示し、解散寺院をめぐる一面を紹介する。

 初代 諏訪蘇山(1851-1922)は現在の石川県金沢市生まれの陶芸家。
 蘇山の制作の中心は「青磁の蘇山」と称された青磁の制作でした。その制作は高い評価を受け、大正6年(1917)、帝室技芸員の任命を受けました。
 蘇山の青磁作品には、その淡青色の美しい色調とともに、精緻な造形や装飾に特徴があります。その精緻な造形・装飾に欠くことの出来ない技が石膏型を用いた成形技法でした。これにより蘇山は精緻な造形・装飾と高い再現性(量産性)を両立しました。
 工房には蘇山が用いた百年以上前の石膏型が多数残されており、2011年からそれら全ての基礎調査を実施し、さらに2019年から四代 蘇山と京都工芸繊維大学Kyoto Design Labとが協働し、三次元測量をおこない、欠損や亀裂などの損傷をデジタルデータ上で補修をおこない石膏型の複製をつくり、デジタルファブリケーション技術を活かして再現品の制作に取り組んできました。
 一方、京都工芸繊維大学の前身校のひとつである京都高等工芸学校初代校長であり化学者の中澤岩太(1858-1943)は、蘇山と同時代に、化学的な知識と経験を駆使して京都の陶磁器生産の近代化に貢献をしました。おそらく初代蘇山とも交流があったと考えられます。今回の展覧会では、初代蘇山と中澤岩太、そして、残された石膏型とKyoto Design Labという時代を超えた出会いを展覧会というかたちで再現してみたいと思います。

○主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○共催:京都工芸繊維大学、KYOTO Design Lab
○企画:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
○特別協力:四代 諏訪蘇山
○協力:愛知県陶磁美術館、諏訪蘇山研究会、京都・大学ミュージアム連携

◎関連企画
○シンポジウム「初代諏訪蘇山の革新技法」
日時:2023年10月1日(日)13:25~(13:00開場)
会場:京都工芸繊維大学60周年記念館 1階
定員:160名程度(当日先着順)
入場料:無料

スケジュール
13:25~13:30  開会挨拶
13:30~14:00 「諏訪家に伝わる初代諏訪蘇山のこと」
          四代 諏訪蘇山氏(陶芸家)
14:00~14:30 「陶磁制作における革新技法」
          佐藤一信氏(愛知県陶磁美術館・館長)
14:30~14:40  休憩
14:40~15:10 「初代諏訪蘇山の知られざる漆芸作品と技法」
          小池富雄氏(鶴見大学仏教文化研究所・客員研究員)
15:10~15:40 「初代諏訪蘇山と中澤岩太」
          並木誠士(京都工芸繊維大学美術工芸資料館・館長)
15:40~15:55  休憩
15:55~17:00  ディスカッション

 染織産業が盛んであった京都では、明治時代に入り、西洋から流入した新しい技術やデザインを参考に、服飾や室内装飾のためのファブリックの機械生産に乗り出しました。明治35年(1902)に開校した京都工芸繊維大学の前身校のひとつ京都高等工芸学校でも、教材として、西洋各国からさまざまな柄や技法をつかった生地を収集しています。
 なかでもひときわ華やかなのが、リバティ商会(Liberty & Co.)をはじめとするイギリスのファブリックの数々です。1875年、アーサー・ラセンビィ・リバティ (Arthur Lasenby Liberty, 1843-1917)によって、ロンドンのリージェント・ストリートに設立されたリバティ商会は、世界中から集めた装飾品や美術品販売で成功をおさめ、のちに上質な生地を用いた優美な花柄パターンのプリントを手がけ、一躍有名になりました。
 世界に先駆けて産業革命を達成したイギリスでは、その反動として、職人の手仕事を再評価し、生活と芸術を結びつけようとするアーツ・アンド・クラフツ運動が呼び起こされ、ウィリアム・モリス(William Morris, 1834-96)らによる多彩なデザイン活動によって、人びとの関心は生活空間を彩る壁紙や家具、インテリアへと惹きつけられました。そのなかで花開いたリバティのデザインは、大胆なアール・ヌーヴォーから緻密で繊細なオリエント風のものまで、今も多くの人々を魅了しています。
 厳しい夏のさなか、麗しいリバティのデザインの魅力をぜひご堪能ください。

 ポスターとは、イベントや商品を宣伝するためにメディアです。デザイナーは、いかに人びとの目をポスターに引きつけるか、いかにして宣伝効果をあげるか、ということに苦心します。色、かたち、文字などを工夫して訴求力のあるポスターをつくることが、デザイナーに求められているのです。
 今回の展示では、日本の一線級のデザイナーが同じテーマに挑戦している例をあげて、デザイナーの工夫や個性をみてもらいたいと思います。  ひとつは、ヒロシマ・アピールズというポスターのシリーズです。これは公益社団法人日本グラフィックデザイン協会 (JAGDA)と一般財団法人広島国際文化財団の協同制作で1983年にはじまった事業で、公益財団法人ヒロシマ平和創造基金も主催に加わっています。毎年、JAGDA会員デザイナーが選出されて、平和を祈るポスターをボランティアで制作しています。ここでは9人のデザイナーがそれぞれのスタイルで平和を祈念している様子をご覧ください。そして、もうひとつは、1997年9月24日にパリで開館した日本文化会館の一般公開の告知ポスターです。フランスのパリという異郷にあって日本文化をどのようにアピールするか。6人のデザイナーの工夫を楽しんでください。
 そして、それぞれのシリーズに参加しているのが田中一光です。田中一光のポスター作品については、2階で同時開催している「田中一光ポスター展 舞台と文字ののぞき穴から」でもみていただけます。ふたつの展覧会を合わせてみることにより、田中一光の日本ポスター史上における位置づけも理解していただけると思います。

写真展「930年目の賀茂競馬」
京都産業大学ギャラリーでは、開館以来、11年に渡り賀茂競馬の取材をしています。賀茂競馬は宮中から上賀茂神社に移され、今年で930年を迎えました。この節目の年に行われた競馬について、取材した写真を通じてご紹介します。
本展では特に、競馬の騎手である乗尻(のりじり)の動きを中心に、準備の様子から葵祭での神事奉仕に至るまでをご紹介します。少しでも賀茂競馬にふれていただく機会となりましたら幸いです。

所蔵品展「くらしの中の祈り」
京都産業大学ギャラリーが所蔵する資料を中心に、日々の暮らしの中で用いられる「祈り」に関わる道具を展示します。
本展は、学芸員資格の取得をめざす本学学生による博物館実習の成果を盛り込んだ展示です。実習の成果をぜひご覧ください。
また、五穀豊穣を祈る賀茂競馬に関する賀茂競馬図屏風(京都産業大学日本文化研究所蔵)も展示します。写真展と合わせてご覧ください。

写真展「930年目の賀茂競馬」・所蔵品展「くらしの中の祈り」・ミニ展示「有持有百のドローイングとシュルレアリスム」の3展は、同時開催です。いずれもご覧いただけましたら幸いです。

第二研究成果展示室では、嵯峨地域に伝承される嵯峨大念仏狂言を特集します。嵯峨大念仏狂言が長年にわたり使用してきた衣装や用具類が2022年度に新調されたことを受け、新旧の衣装や用具類の展示を通して、製作した職人さんたちの技術を紹介します。

第一研究成果展示室では、当館に寄託されている仏像や仏画を展示します。

「有持有百のドローイングとシュルレアリスム」

「有持有百のドローイングとシュルレアリスム」の中心的な展示物は、有持有百のドローイング作品20点程度と、彼のアニメーション作品1点です。京都産業大学外国語学部 長谷川ゼミの学生が、有持の有機的なドローイングの魅力をシュルレアリスムの観点からご紹介します。

有持有百とは

本名は有持旭。美術作家。愛知県立芸術大学の准教授で、アニメーション作家(ALIMO)として活躍している。2019 年以降は、有持有百の名前でドローイングを制作し、発表している。彼のドローイングは黒い紙に色鉛筆によって描かれる。アルチュール・ランボオの詩や『千のプラトー』やゲーテの形態学などの詩や哲学から触発されて、具象であり抽象でもあるイメージや物語を作り出す。東京のLIBRAIRIE6で個展(2020年、2022年)が開催され、作品集『立つ人』と『リゾームスケッチ』が刊行された。本展で紹介する作品『累々』は松井玲奈著の小説(2021年)の表紙を飾っている。

「甘美な死骸」とは

紙を折り畳んで他のひとが何を描いたのかをわからないようにしながら、頭、胸、腰、足を順番に描いていく手法である。常識の枠を越えた、不可思議なイメージを作り出せる。シュルレアリストたちが1920年代から集団で行っていた遊びである。普通は複数で行うところを、有持はこれをひとりで行う。

 

博物館学芸員の資格取得を目指す受講生が3年わたる学びを経てその成果を発表する展覧会です。
実習生は3班にわかれ、A班は「親鸞を伝える―生涯と伝承―」、B班は「御霊信仰」、C班は「往生の世界―経典と説話―」をそれぞれテーマとして企画から展示、パンフレットの作成、展示解説までおこないます。
また、本学の博物館・図書館に所蔵される貴重な作品が数多く展観されます。

A班「親鸞を伝える―生涯と伝承―」
鎌倉中期、京都から関東にかけて活動した親鸞。その生涯は様々なカタチで語り継がれてきました。
本展示では時代を超えて民衆に親しまれる親鸞伝を紹介します。

B班「御霊信仰」
平安時代、都は度々災厄に見舞われていました。やがて災厄は、無念の死を遂げた人々の怨霊と考えられ、これを鎮め祀り御霊にする儀礼により、御霊信仰が根付きました。
その後、御霊信仰の影響を受けた北野天満宮、八坂神社が建立され、江戸時代には名所になります。
本展示では、御霊信仰の成立と展開を紹介します。

C班「往生の世界―経典と説話―」
私たちの班では「往生」の思想について取り上げます。往生とはこの世で亡くなった後、別の世界で生まれ変わるという仏教の言葉です。
往生の思想はのちに浄土に関する思想と合わさり、浄土の世界に往生するという考えが生まれました。
今回の展示では経典や説話、物語などを通して往生思想について紹介します。

※会期中の毎開館日、13時30分より実習生による展示解説を行います。