[立命館大学国際平和ミュージアム]
非戦の人 ジャネット・ランキン
なぜ、いまジャネット・ランキンか?
ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館/館長 安斎育郎
いま、日本の政党政治のあり方が鋭く問われています。政権党の派閥の財務担当者が有罪の判決を受けるような事態です。
今回の特別展で取り上げるジャネット・ランキンは、アメリカ合衆国の女性参政権運動で活躍し、ついには歴史上初めて女性としてアメリカ合衆国連邦議会議員になったばかりか、第一次世界大戦・第二次世界大戦の両方に反対票を投じた歴史上唯一の連邦議会議員になった稀有の人物です。
日本の政党政治の混迷ぶりを見るにつけ、ジャネットの清冽で一途な平和活動家としての生き方に目を向けることは、今だからこそ改めてとても意味のあることだと思います。
私がジャネット・ランキンを詳しく知るようになったのは、ジャネットの生まれ故郷であるモンタナ州ミズーラにあるモンタナ大学に講演に招待されたときでした。滞在中、町の「道の駅」でジャネット・ランキンについての1冊の本“Bright Star in the Big Sky – Jeannette Rankin(1880-1973) by Mary Barmeyer O’Brien”(大空の明るい星―ジャネット・ランキン)を見つけ、購入したのです。
著者のメアリー・バーマイヤー・オブライエンの著作はアメリカの子どもや大人たちに広く読まれています。
ジャネットの生涯を綴ったこの本はとても平易に書かれており、帰りの空路で気軽に読むことが出来ましたが、その内容に大いに感動しました。これは翻訳して日本でも多くの人に読んでもらった方がいいと直感し、帰国後すぐにアメリカの出版社と交渉して翻訳を認めて貰い、南部ゆりさん(立命館慶祥中学・高等学校)との共訳で2004年に水曜社から出版しました。ちょうと20年前です。
真珠湾攻撃直後の日本に対する宣戦布告を決める議会は、全会一致で日本との開戦を議決することがアメリカ国民の強い期待でしたが、驚くべきことにジャネットは上下院470票の賛成に対してただ一人反対票を投じたのです。
私は、信念に忠実なジャネットの生きざまに大いに感動し、励まされました。生涯平和主義者だったジャネットは、「平和のために出来る事をすべてやらずにこの世を去るなんて、そんな残念なことはありますか?」と言いました。う~ん、強い!ジャネットに思いを馳せると、今でも身が引き締まる思いです。
どうぞこの特別展をご覧になって、私たちの国の政治や政治家のあり方に目を向けてみて下さい。
展覧会名 | 非戦の人 ジャネット・ランキン |
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会期 | 2024年9月30日 〜 2024年10月12日 |
開館時間 | 09:30 – 16:30 入館は16:00まで |
休館日 | 日曜日および祝日の翌日(日曜日が祝日の場合は開館、翌日が休館) |
入場料 | 大人400円(350円)、中学生・高校生300円(250円)、小学生200円(150円) ※( )内は20名以上の団体料金 |
URL | https://rwp-museum.jp/special/20240917_02/ |