トピックス [嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学附属博物館]
アジアの布

《刺繍布》、パキスタン。

本学は1971年に嵯峨美術短期大学として開学しました。その際に学長を務めていたのが、密教美術研究の権威であった佐和隆研先生です。
1980年末から1981年初頭にかけて、この佐和学長他3名の本学教員と種智院大学の2名の調査員がインド東部のオリッサ州の仏教遺跡調査を行いました。ラトナギリ、ラリタギリなどの遺跡を調査し、数多くの写真や遺跡の平面図などをその成果として持ち帰りました。こうした研究資料に加えて持ち帰ってきたのが、今回展示される多くのテキスタイルや民間信仰にもとづく木彫などの民芸品です。
残念ながらこれらの資料は2005年に本学附属博物館で展示された後、職員の交替などがあって、収蔵庫内でのその所在が明らかになっていませんでした。しかしながら2024年に庫内の整理を行っていた際に、複数の段ボール箱にぎっしりと入っていたテキスタイルやその他の立体工芸品がたまたま見出され、その素朴ながらも興味深い姿が私たちの前にふたたび現れたのです。
テキスタイル製品はオリッサ州のものだけではなく、インドネシアやペルシアのものも多く含まれており、広くアジアの染織工芸を考えるうえでのよい資料といえるでしょう。皆様にはどうぞその色彩感覚や図柄の面白さなどを存分に味わっていただきたく思います。
また、この展示には本学の「博物館実習」履修生が参加しました。この作業が今後の良い糧となることを祈っています。

最後になりましたが嵯峨美術大学デザイン学科染織・テキスタイル領域の大谷史乃先生をはじめ、ご協力をたまわりました多くの方々に感謝申しあげます。

2025年8月28日