[京都工芸繊維大学美術工芸資料館]
日々是探究―京都高等工芸学校教員たちの模写と手習い
明治35年(1902)、京都の伝統産業の近代化と新しいデザインをうみだす人材の育成を目的として京都高等工芸学校が開校しました。初期の教員たちは、化学者の中澤岩太(1858-1943)や洋画家の浅井忠(1856-1907)など、海外留学も経験した専門家集団でした。一方で、画力の向上や図案研究のため、教育のかたわらさまざまな芸術ジャンルに挑戦し、ときに玄人並みの技術を習得しています。
少年期に南画家・黒沼槐山にまなんだ浅井忠は、京都に来てから盛んに日本画に取り組みました。同僚であった日本画家、菊池素空(1873-1923)に指導を受けたとも言われています。また、校長の中澤岩太は、東京大学出身で製造化学を専門とする化学者でしたが、手習いとして、東京美術学校でも教鞭をとった狩野友信(1843-1912)にまなび、京都に来てからは望月派の女流画家、前田玉英にまなんでいます。油彩画においても浅井に指導を乞い、《グレーの秋》(1901・個人蔵)を模写するなど、精力的に制作に取り組みました。そのほか書道や篆刻、蓑虫工芸にも才能を発揮しています。
さらに京都高等工芸学校第1期卒業生で、のちに同校図案科の教員となった間部時雄(1885-1968)や霜鳥之彦(1884-1982)も洋画の道を究める一方、鳥獣人物戯画やミュシャのデザインを模写し、表現の幅を広げました。
余技というには惜しい教員たちの研究の一端を是非ご鑑賞ください。
展覧会名 | 日々是探究―京都高等工芸学校教員たちの模写と手習い |
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会期 | 2023年11月20日 〜 2023年12月16日 |
開館時間 | 10:00 – 17:00 入館は16:30まで |
休館日 | 日・祝日 |
入場料 | 入館料:一般200円、大学生150円、高校生以下無料 |
URL | https://www.museum.kit.ac.jp/20231120.html |