[京都工芸繊維大学美術工芸資料館]
館蔵漆芸品展ー伝統意匠の継承と近代の蒔絵ー
日本の漆器に見られる「蒔絵」は、日本独自に発達した加飾技法です。器面に漆で文様を描き、その上に金をはじめとする金属粉を蒔きつけて装飾を施す技法で、江戸時代には様々な工程が出揃い技術的な隆盛を極めました。蒔絵は古くから武具や文具、生活調度などに施され、その意匠は草花から文学、有職故実といった日本の伝統美と密接に関係しています。特に京都においては公家や武家の好みと強く結びつきながら発展し、複雑な工程を用いたり、金をふんだんに使用した多くの高級漆器が制作されてきました。
しかし、明治時代になると、東京遷都や産業工芸の振興といった時代的な背景から、漆工芸を取り巻く環境は大きく変化します。海外で人気のあった漆器は、主要輸出品目として注目を集めるようになり、また国内でも各種博覧会が開催され、社会環境の変化の中で現代の生活にあった漆器の制作が求められるようになる中で、新たな意匠の改革が早急な課題として業界を挙げて取り組まれるようになりました。
本学前身の京都高等工芸学校図案科の教授であった浅井忠(1856-1907)は、工芸図案の指導に尽力し、明治39年(1906)に「京漆園」という若手漆芸家を集めた漆芸研究団体を設立します。浅井の指導を受けた杉林古香や迎田秋悦といった蒔絵師は、近代京都を代表する作家として現代においても知られています。
本展示では、当館が所蔵する江戸時代から近代の漆芸コレクションをご紹介します。江戸時代の優美な生活調度品から、伝統を継承しつつも創作的な意匠を纏った近代の漆芸作品を通して、蒔絵の世界をお楽しみいただければ幸いです。
展覧会名 | 館蔵漆芸品展ー伝統意匠の継承と近代の蒔絵ー |
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会期 | 2018年2月27日 〜 2018年4月13日 |
開館時間 | 10:00 – 17:00 入館は16:30まで |
休館日 | 日曜日、祝日 |
入場料 | 一般200円、大学生150円、高校生以下無料 |
URL | http://www.museum.kit.ac.jp/20180227.html |