トピックス [大谷大学博物館]
大谷大学博物館所蔵品が重要文化財に指定
この度、大谷大学博物館が所蔵する『慈鎮和尚伝(じちんかしょうでん)』と「後白河院庁下文(ごしらかわいんのちょうくだしぶみ)」が、重要文化財の指定を受けました。
今回、重要文化財の指定を受けた2点は、4月22日(火)から東京国立博物館で開催される「平成26年新指定国宝・重要文化財」展に出陳され、本学では秋に開催する企画展で展示を行う予定です。
『慈鎮和尚伝』1巻
紙本墨書 巻子 縦27.9㎝×全長577.7㎝
鎌倉時代(正応2=1289)
鎌倉時代の天台僧である慈円(1155~1225)の伝記で、没後間もなく遺弟により編纂された伝記の一つ。慈円は、天台座主を4度務め、「慈鎮」と諡され、『愚管抄』の著者として知られています。父は藤原忠通、母は藤原仲光の女の加賀で、同母兄に藤原(九条)兼実がいます。
本品は、もと青蓮院の吉水蔵にあった三種のうちの一つで、他本には見えない慈円の修道生活や周辺の様子が具体的に記されることから、慈円伝の基本史料として重要であるため、重要文化財に指定されました。
神田喜一郎旧蔵。
「後白河院庁下文」1巻
紙本墨書 巻子 縦32.0㎝×全長217.0㎝
平安時代(永暦元=1160)
後白河院庁が、永暦元年5月5日、浄妙寺の訴えによって、伏見庄の庄民らの横領を止め、寺領を返却するように、山城国在庁官人らに命じた下文。巻末には院司の花押が並ぶが、その中に「大宰大弐平朝臣」として平清盛が花押を据えています。浄妙寺は、藤原北家の墓所のあった宇治の木幡に、藤原道長が建立した菩提寺です。
本品は、現存する後白河院庁下文の原本の中で、早い時期に出された、院庁下文の典型として、古文書学上及び院政期社会研究上に重要であるため、重要文化財に指定されました。
山田文昭旧蔵。
2014年6月25日